織部 志野 黄瀬戸 の舞い踊り・・令和の竜宮城?

昨日、ベルギーから来た、というカップルがそばを手繰りにきた。
「PERFECT DAYS のロケチを観てきました」とのこと。
『パリ、テキサス』などで知られるドイツの名匠ヴィム・ヴェンダースがつくった映画で、この界隈を
ロケ地にした。先月も同じような感じで、イタリアからきたご夫婦がいた。役所広司が、いい役者の味をだして、
アカデミー主演男優賞をとった。選挙と同じで、「見た人も多い」けど、「見ていない」人も多い。
「目明き千人 目暗ら千人」の世界。

「ハナゼン クダサイ」といった。英語のメニューはないけど、スマホがあれば、だいたい翻訳できる時代になった。

ここは、墨田区「文花」という地名。それを冠にした「文膳」(ふみぜん)という昼のみセットと、
「花膳」(はなぜん)というスイーツ(チーズケーキつき)のセットがある。

最初に志野(しの)の湯のみに黒豆茶をだす。「あ~シノ」と感嘆の声。
その後に、そば豆腐を、黄瀬戸(きせと)のひさご皿にのせてだす。「わ~キゼト」と黄色い声。
こちらのほうが「ナニモノ デスカ?」と聞きたくなる。日本人で、志野、黄瀬戸、織部、という桃山時代
からの陶器の呼び名をわかる人は、稀有(けう)だ。

しばらくして、そばを出す。ひとりは「ざるそば」、もうひとりが「花巻そば」。
ざるそばは、絵志野(えしの)の四方皿(よほうざら)にのせる。花巻そばは、能登漆の合鹿椀(ごうろくわん)だ。
「これも、きれいなシノ」といったけど、合鹿椀は「きれいなウルシ」といった。
蕎麦湯を、織部の土瓶にいれてもっていくと、「オリベのポットきれい」とのたまう。完璧だ。

最後に珈琲を白いカップにいれてもっていくと、「わ~コウダイがついている」とのたまわれた。
久保さんの珈琲カップは、抹茶茶わんと同じように、高台(こうだい)がついている。
なぜだか、美人、しかも金髪の美人がこれで飲むと、ピカピカなオーラを放つ。
そんな話をすると、日本の女子たちが少しきどって飲んで「私どう?」と問われることがあるけど、
少し頭をかしげて「ちょっと」と答えるようにしている。
「え、ちょっと、ってどうゆうこと?」と聞かれると、鏡を渡すようにしている(笑)

最後にチーズケーキ。やはり久保さんの織部の葉皿(はざら)でだす。
「この オリベ スバラシイ」と笑いながら言った。
昨日のリトアニア人と同様に、ここで「元気シール」のショップカードをだして、
珈琲の味の変化と、OK牧場実験をしながら佳境を迎える。
金髪の美人も名刺をくれた。ベルギーで陶芸をやっていて、来月銀座のギャラリーで陶展をやられるそうだ。

英語はしゃべれないけど、「共通の文化」があれば、こころ通じるものだ。
「英語でなにをしゃべるか?」が大事。自国の文化を誇れる日本人が増えてほしいものとつくづく思う。感謝。