池袋モンパルナスの一角、千早というところに、「熊谷守一美術館」がある。
8月1日が命日になるので、8月の中旬まで「守一最後の10日」展?という
催しをやっている。
先週の日曜日に、並びのカフェ古家めぐるで「放課後天国ここにあり」というドキュメント映画の上映会があった。
リッタのさつきさんが企画したもので、映画の後、監督の中ムラサトコさんと、スタッフの打ち上げ
が天真庵であった。中ムラさんは、上の助空五郎くんのねえちゃん。空五郎くんは、天真庵でライブをやったことも
ある。昨年は花形演芸会大賞銀賞を受賞し、各地で出演、今年は能登で応援ライブをやってくれた。
そんな話の流れから、来月岐阜の高山にいくことになり、中津川出身の「熊谷守一」の話になった。
ちょうど水曜日が、池袋の歯医者にいく日だった。錦糸町からバスにのって、大塚で降り、「旧・画廊天真」
の前を通って、歯医者にいく。慢性の「金欠病」以外には、どこも悪いところがないばってん、毎月一度歯の
掃除をお願いしにいく。帰りにK先生が「この猛暑の中、また大塚駅(徒歩20分)まで歩くのは危険なので、
せめて板橋駅(徒歩5分)にしてちょうだい」と言われた。K先生は、若かりしころ、いっしょにホノルルマラソンを完走した
アスリートでもあるが、言葉使いが、オカマのMくんと同じで、男性にしてはすこし柔らかい?
素直にアドバイス通りに、板橋駅で埼京線にのって、次の駅の池袋に降りた。
ボクシングの元日本チャンピオンで、ホームレスをやっている「だいちゃん」のことも気になったので、
西口の芸術劇場の前の公園をうろうろしたけど、だいちゃんは見つからなかった。
そのまま、要町まで歩き、要町小学校から路地裏をくねくね歩くと、「熊谷守一美術館」がある。
彼の旧居跡を、次女で画家の榧(かや)さんが、美術館にして一般に公開し、彼女が亡くなってからは
「豊島区」が運営している。
彼の著書「へたも絵のうち」そのもので、飾り気のない住居に、誰にも習っていない絵や書が飾られている。(でも
誰もマネができないレベルでみな秀逸)
税金を使った「はこもの」でない・・・そこが一番大事。極貧の中で子供を育て、何人かの子供には先立たれた。
その時にお見舞いにもらった「玉子」も絵になっているし、亡くなった子供の姿も絵に残した。
そして3階で「守一最後の10日」展をやっている。自画像のような自分の亡骸も榧(かや)が描いて今でも
そこに住んでいるように、飾られている。
絵がうまいから、字がうまいから、芸術家になるのではない。「一所懸命に生きている」ことが芸術だし、
この星で一番の芸術は「ひととひとが出会うこと」だと思う。
そして彼は「獨楽」という境地を遊んだ。誰にも知れずに、マネせず自分流に人生を楽しむ。
そんな彼の人生が息づいている小さな美術館。
危険な暑さが続くけど、縁ある人はこの「守一最後の10日」展にお運びください。
けっして、要町(美術館まで徒歩7分)からいかないように(笑)
貧乏な芸術家たちは、池袋から、自分のアトリエまでみな歩いていたのであるから・・人と違う道を歩くのが大事!
途中、誰にも教えたくないカフェや、バーもある。やはり歩くが獨楽の一歩だ。
池袋モンパルナスに夜が来た
学生、無頼漢、芸術家が街に
出る
彼女のために、神経をつかへ
あまり太くもなく、細くもない
ありあはせの神経を――。
小熊秀雄「池袋モンパルナス」
今日は北九州市立引野中学の同級生4人の「そば会」だ。
天国への「引っ越し蕎麦」の前にそんな会ができてうれしい!感謝。