UFOは、こうでなくっちゃ!

ときどき、「そばやの〇〇は、こうでなくっちゃね」と「後期高齢者だから後がない」が口癖の後期高齢者の
おじいちゃんがそばを手繰りにきた。誕生日が奇しくも筆子さんと同じ建国記念日。
「2月11日にこようと思ったんだけど、能登が大変だろうと思って、ためらってしまって・・」とのこと。
「屋根が壊れて雨漏りがひどかったけど、ブルーシートをかけてもらって、濡れた畳や家具なんかをボランティアさん
たちに運んでもらって、何不自由なく暮らせるようになりました」と答えたら、
「日本人は、こうでなくっちゃね。困った時には助け合う。いいな~ いつもの昼酒セット」ときた。

籠にいれたお猪口を選んでもらう。
能登の珪藻土でつくった久保さんの新しい黄瀬戸を選び、「これいいね。そばやの酒器はこうでなくっちゃね」
というので、能登の地酒の白藤を純米を、黄瀬戸のお銚子にいれてだした。
突き出しかわりのそば豆腐に、柚子胡椒をのせ、かえしをパラリとかけて、ひさごの器にのせてだした。
「おいら、後期高齢者で、いつまでこんな幸せな酒を飲めるかわからないから、ひさごの器で飲めるのは幸せだね。
そばやはこうでなくっちゃね」と、いつもの調子で黄瀬戸のお銚子を傾けながら、上機嫌になっていく。

「この柚子胡椒は自家製でしょ?」「はい」
「どうりで、緑がきわだっていて、香りがぷーんときていいね~」。
柳家小さん師匠の落語「時そば」を聞いているような気分になる。

「ところで、この柚子胡椒は、どうやってつくるの?」
「柚子の皮むいて、塩と青唐辛子でつくります」と答えると、
「え、こしょうじゃないの?青唐辛子・・・そんなこと誰も知らないよね」というので、
「九州では、青唐辛子のことをこしょうといいます」と答えたら
「おいら、後期高齢者のこの年になって、また新しいことを勉強したよ。うれしいな。」と赤ら顔で笑った。

魯山人うつしの「井の中の蛙」にのせた酒肴の三種盛りもたいらげ、「後期高齢者になっても学べ、と皿が笑ってら~・・そばをお願いします」
で、〆のそばをズズズと、江戸っ子よろしくじょうずに手繰られた。
「今日は暑いけど、珈琲はアイスにしますか?」と尋ねたら、「後期高齢者が、『君をアイス』なんて言いっこないでしょ。ホットちょうだい」
ときた。

額から汗が噴き出していたけど、涼しい顔しながら「そばやの珈琲はこーでなくっちゃね」
「またくるね」といって、十間橋通りを闊歩していかれた。

今日・明日は「12時から16時」 それから「そば打ち教室」「UFO焙煎塾」
大型で新しい「UFO」が、ポツポツ嫁ぎはじめた。昨日は、熊本の珈琲屋さんから注文があった。
今回のは一回に150gが焙煎できる。夏に「水出し珈琲」をだすようなお店だと、不通の珈琲豆を
5分くらい焙煎(二度焼きやね)すると、これまでとは別次元のアイスができる。
どうどうと「アイス」と注文してくれる人が増えるかもなんばん。感謝。