能登の塩屋の社長が旅立たれた

味噌つくりが今月末から始まる。
もう15年くらいやっている。「菌活の会」という。
能登で暮らすようになった6年前から、塩を能登塩にかえた。
お客さんのほうは「自分の気にいった塩を持参する」がルールだったけど、
今では半分近くが「能登の塩」をつかっている。ミネラル分が、一般の塩とは
違っていて、できあがった時の味が、異次元になる。
世のなか「減塩」ブームみたいだけど、わたくしたちの命の源みたいな塩は適量とらないと、
かえって不健康だ。

天真庵では、味噌のほか、かえし、梅干し、毎日の出汁などにも「能登の塩」を使っている。
毎月のように、能登にいくと、珠洲の丸和工業という七輪屋さんにいく。その手前に、昔から
「揚げ浜式製塩」という古式ゆかしき塩つくりをしている場所がある。
「中前製塩」というところが、天真庵の御用達の塩屋さん。12月の雪ふる中、寄る予定はなかったのだが、
社長の車が駐車場にあったので、彼の大好きな珈琲豆をもって、表敬訪問。

「珈琲に塩を少し入れて飲むと便秘がなおる」も彼に教えてもらった。焼き塩を瓶づめする時も、焙煎した珈琲豆を
いれていた。「ゆかり」という梅干しをつくる時の紫蘇の干したものも、珈琲とのぶつぶつ交換でいただいている。
月曜の玉子かけごはんの時に、ふりかけといっしょに出す。
そのふりかけは、彼が夏のトビウオでつくる「焼きあご」。製塩の作業もきついけど、トビウオの季節に
エアコンのない仕事場で、炭火で焼く姿に感動した。まさに、能登の自然の力をいっぱいに享受している匠。

雪が降るなか、いつものように表で車が見えなくなるまで手を振ってくれた。ぼくも助手席の窓を
あけて、思いっきり手を振った。

中前賢一さん。享年78歳。映画『ひとにぎりの塩』に「おいしいものはおいしい」
と、でてこられる。YouTubeの予告編観て、泣けた。
汗もかかずに、楽して儲けるような風潮になって久しい。この映画を観ると、「生きるとはなんぞや」
のヒントがいっぱいつまっている。鎮魂。

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