華道に使う「くばり」

ピアノの赤松林太郎氏から暑中見舞いが届く。関西も暑いらしい。軽井沢も北海道も暑いけど・・
原田先生の元で、机を並べて、花活けを習った同志だ。今はその世界の重鎮になった。
2007年の春に天真庵が押上に結ばれ、その年にヨーロッパから
帰国した彼が押上に住み、うちでよくコンサートをやってくれた。

先日、ピアノをはじめたという女性のお客さんが「よくカウンターにいらっしゃった
、なんとかさん、有名なピニストなんですね」というので、「あかまつ、りんちゃん?」
「そうです。そんな人」(笑)

さておき、原田先生の花のお稽古で初日は、「くばり」を作る稽古をした。
竹の寸胴に、葉蘭(はらん おすしやさんのお皿なんかに敷くやつ。回転すしやでは使わない)
をいける時、枯れ木を二本、Vの字に削って、しっかりと土台をつくる。
最初は、3枚の葉蘭を生ける。だんだん増えるにつけ、しっかりしたくばりが土台にならないと、
葉っぱが倒れてしまう。「人生と同じで、土台が大事なんですよ」と、今はなき先生の言葉が
忘れられない。ピアノの赤松メソッドも、そんな華道的な精神が生かされているに違いない。

鋏は京都の「安重」。鍛冶屋から華道専門のお店になり、今は老舗。
「安いけど重い」・・・・びっくりするくらい高い(笑)
でも、道具というものは、「道に具わる」ものだけあって、どうせ買うなら、一生ものを
使いたいものだ。鋏とくばりをつくる小刀は「安重」を愛用していて、能登でタコを釣りに
いく時も、釣り具バッグの中に忍ばせていて、道すがらに咲く野の花を見つけたりすると、
家に持ち帰り、「花は野にあるように」といった利休の言葉を言い聞かせながら、花器に投げ込んだり
して遊んでいる。

昨日は、そんな昔の道具を使って、水出し珈琲の器具をひとつつくった。エアコンをつけずに
汗かきかきやったら、体重が1k減った。あとでビールーを飲んだら、もどった(笑)
京都のカフェの女主人というおひとから、「珈琲の3日坊主がなんやらいう珈琲塾に参加したいんどすけど」と電話。
「昔のからふねやさんのような珈琲を淹れてみたい」と、はんなりした京言葉でいわはるさかい、
「しゃーない。では能登においでやす」ということになり、3連休が特訓日になった。感謝(おおきに)