昨日は、「UFO焙煎塾」。
2人のベテランロースターがきた。
彼女たちは、ふたりとも、能登の珪藻土七輪の上に、手回し焙煎機をのせて、焙煎を自由自在に
できるようになり、ハンドドリップでも、サイフォンでも、水だしでもみんなOK牧場の腕前になった。
昨日は、初心にもどって、UFO(珪藻土でつくったほうろく)に、モカマタリを60g入れて焙煎。
イチ爆ぜまで5分、ニハゼで、少しイタリアやフレンチに近くまで深く焙煎して、
50g弱の焙煎された珈琲豆ができあがった。そのうち30gを石臼で挽き、緑色のオリベの土瓶
の上にで、ネルドリップして、あったかい珈琲と、それに氷をいれて、アイスコーヒーをつくった。
少し体を動かすと汗がでるような陽気になったので、ビールも美味いし、アイスコーヒーも美味い。
午後はいつものように、錦糸町や亀戸を徘徊散歩。スカイツリーもすごい人だけど、錦糸公園や、
亀戸天神もすごい人だ。
天神さまのわきに、ときどきのぞく材木屋さんがある。「ちわっす」といってじっと手、いや木を見る。
働けど働けど 猶わが暮らし 楽にならざり じっと手を見る(石川啄木)
幅20センチ、長さが2mちょっとの古木が、にこっと笑って「私を能登につれてって」といったように感じた。
おやじさんに、「これは、なんの木、きになる木?」と尋ねたら、「ケヤキだよ、いいだろう」と生きのいい返事。
値札をみたら、今どきだったら、作家もののテーブルセットがかえそうな値段。ケヤキとかヒノキは高い。骨董屋とおなじで、ポーカーフェイスに
なって、ほかの木に視線をはずし、しばらくほっといたら、オヤジさんが「何に使うの?」と聞くので、
「ロブチにしたい」と答えたら「いいね~どこに囲炉裏をつくんだ?」と歯切れのいい江戸弁で語ってきたので「石川」
といったら、「うちのオジも、七尾に古い家を買って囲炉裏をつくり、東京と能登を往復していたんだ」と話してくれた。
そんな感じで話がはずみ、「よし買った」と叫んで、ヘソクリをカバンからだして、数えていたら、2万円ほど足らない。
おじさんの顔見たら「いいよそのくらい負けたる。ついでに軽トラで運んでやるよ」とおっしゃる。負けてくれた上に、運んでくれるのは申し訳ないので「10分ちょいだから、かかえてかえります」といい、古木をかかえて歩きだしたら、3歩くらいで「無理だ」と思った。
おじさんは笑いながら「ケヤキは、固いし、高い。そこが値打ちよ」と笑っている。頭をさげて「よろしくお願いします」
とお願いして、お店まで軽トラにのって、ドライブ。
洒落ではないけど、またまた石川啄木のうたを思い出した。こちらは「重きに泣きて 三歩あゆまず」だけど・・
たはむれに 母を背負ひて そのあまり 軽きに泣きて 三歩あゆまず
石川で「能登で始める三日坊主の珈琲塾」というのを開講した。今月はふたりの新人がこられる。
この冬までには、囲炉裏が完成し、囲炉裏端で珈琲を淹れる、という風流なことができそうだ。
木工の般若くんに、「いいケヤキの古木が手に入ったので、冬までに炉縁(ろぶち)をお願い」と電話。
能登の家には、彼が天童木工時代の「卒業作品」の茶箪笥があり、茶道具や珈琲カップが収まっている。
その部屋に、ケヤキの古木の囲炉裏。ぼくもあと4年で古希。それまでには、なんじでくれるだろう。感謝。