1秒でまわりを元気にするお姉さん

味噌つくりをしている2月のさる昼下がり、バイクにのった赤く髪を染めたお姉さま(その時は、おばあちゃんだった。あまり元気なので、その後、お姉さまに格下げ)がお店に入ってきて、「表にあるUFOください。いくら?」というので、「一億円です」と答えたら、「宇宙的なものはそんくらいするわね。すこしまけて」というので、「常連さまは一万円です」と答えた。「どうしたら常連さま、ちゅうのになれるの?」と聞かれ、「一度来店したらみな常連さまです」というと、そのままカウンターに座り、「ホボブラジルちょうだい」と天真庵オリジナルブレンドを所望されたので、ネルのハンドドリップで、ほぼぶらじるを淹れた。

おいしそうに、一気呵成に飲みほされ「じゃ、UFOお願いします」といって、財布からお金をだそうとした時、「つまり、
珈琲いっぱいで、9000万以上得するのね。だったら、この「還元くん」(26000円)もいっしょに買っていくわ。
昨日年金がでたので・・」といって笑った。失礼ながらお年を聞くと「75歳。ケアマネージャー。人生100年時代なので、
あと10年はこの仕事をする予定」と、オペラ歌手のように、腹のそこからの元気な声で答えられた。

それからこっち、週に一度のペースで、赤い髪したお姉さまがバイクにのってやってくる。死ぬまで現役の幇間(ほうかん)を
やっていた「悠玄亭 玉」ちゃんの生まれかわり?(4年前まで存命だったので、そんなことはないけど(笑)」とも思ったりして。
どちらも、お店に入ってくるなり、一秒もたたずに、パーっとみんなが元気をもらう。
元気な女子は、古希をこえたら、みんな赤く染めると、日本中が明るくなるかもなんばん。

昨日は土曜日なので16時閉店。閉店間際に、常連さまの親子が来店。「ぎりぎりですいません。お母さんが散歩の途中で
少し疲れて、天真庵のそばを食べたいというので・・」
「ぜんぜんOK牧場よ」といって、ざるそばの用意をしていた。
その時、月光仮面のようなお姉さんがバイクでやってきた。
「ごめんごめん。打ち合わせがおそくなって・・・ほぼブラジルと、コロンビアの生豆500gちょうだい。」
カウンターでそばを手繰っていたおばあちゃんに向かって、「お姉さま、そばをおいしそうに手繰りますね・・私とおなじくらいのおとし?」
と声をかけた。突然だけど、歯切れのいい赤い髪の女性に「お姉さま・・」といわれ、そばを噴き出しそうになって笑った。
一時が万事で、いつもこんな感じで、まわりの人が元気をいただく。

それから、彼女の独演会。
「日本人は100年前まで、みな食えなかったでしょ?少し飢えたくらいがちょうど体にいいDNAをもっているのね?
たった100年でそのDNAが変わるわけないよね。それがバブルがあったり、へんなグルメのブームが続いて飽食な時代に
なったでしょ。だから、お金つかって好きなもの食って、太ったといったら、また無駄なお金つかってダイエットして、あげくの
はてに、成人病で死んだみたいになって長く病院で過ごして死んでいくようになったでしょ。バカみたい」

わずか滞在時間が10分弱。いつもきまり言葉のように「このお店はマスターがかわっているので、おもしろい人が
多く集まり、元気がもらえるわ」といって、バイクにのって帰っていかれた。
彼女にいわせると、「元気のぶつぶつ交換の場」らしい。散歩の途中で少し疲れたおかあさまも、元気に笑いながら家に
帰っていかれた。
朝飯前にブログを書くので、よくグーとお腹がなる。これは「幸せになる」サインかもなんばん。
江戸時代の天才観相師・水野南北が、晩年に「人格は飲食の慎みによって決まる」と悟ったらしい。

今日も16時まで。それから「そば打ち教室」「UFO焙煎塾」
明日の朝は「卵かけごはん」