昨日は、引っ越しのサカイのトラックがお店の前にとまった。
書棚、タンスなど、大きな家具を能登へもっていってもらう。
煎茶仲間で、洗い張りをやっているTさんが、年末でお店の緞帳を下げ、
お店で使っていた古い箪笥などを、5つほど譲ってもらった。
そこの椅子は、天真庵と同じく般若くんの藤で編んだ椅子。ホンモノがわかる
同志みたいな人が、この街からひとり消えていく寂しさがある。
3年くらい前に、同じくサカイのトラックがお店の前にとまった。
バンダジ(李朝のタンス)とか、久保さんの信楽の大壷とか、長い皿や、
大きな皿、書棚・・・・一家族分くらいの道具類を能登に運んでもらった。
その時の、サカイのおにいさんたちの手際の良さと、気持ちよさから、今回も
サカイでお願いした。
3年前の時は、近くの人で、一度もお店にはきたことのない、でも十間橋商店街の
エライさん?に声をかけられた。
「朝はやくから夜おそくまでやっておられたけど、ダメでしたか?」
お店がたちゆかなくなって、閉店の片づけをしている風に見えたらしい。
人の不幸は蜜の味、か(笑)
すこし頭にきたので、新しい名刺「能登の寒山拾得美術館」と書いたんを渡し、
「おかげさまで、能登に美術館をつくり、そこに入れる美術品を運ぶとこバイ」といった。
とたんに、そのおっさんは顔を曇らせた。反対に、人の幸福は、ツミの味?
でもぼくたち飲食店は、絶滅危惧種みたいな存在には違いない。今年も兜とかふんどしを
ひきしめて、こつこつやっていくしかない。
今朝はめっきり寒い。包丁につけるホホバオイルが凍っている。ということは10度以下だ。
いつものように、炭をおこし、朝から元気にそばを打つ。
そろそろ「味噌つくり」の案内をおくる季節でもある。
世間は「ニッパチ」といって、二月と八月は、「暇」な時。
天真庵は、味噌つくりのある2月は、一番忙しい。能登休みも、通常の休みも返上。
ひとのいく 裏に道あり 花の山