梅雨がはやくあけ、猛暑の後に少し涼やかな日が続いている。
「秋」だと思い、夜は虫がすだく音が聞こえる。カナカナ・・・
と少し物憂げなひぐらしの声も聞こえる。ぜったい、鳴く旬を
間違えているのだろう。大学を中退して、どこにも就職せず、
その日暮らしをしてきた身としては、このカナカナ・・を聞くと、
他人事に思えないし、「幸せなその日暮らし、が一番」と、励まされながらなんとか生きてこれた。
昨日は、梅茶翁にいく。しんごちゃんたちは、田んぼの草取り。先月田植えをした稲が
大きく育っている。まわりに、ほかの草たちも、大きく育っている。
雑草とかいって、人間が勝手にきめつけしているけど、生きとし生けるもの、みな
それぞれ役割をもっている。トウモロコシを無農薬でつくる時、畝に雑草といわれる草をそのまま
にしておくと、そこにアマガエルさんが居着き、とうもろしにつく害虫を食べてくれる。
稲の害虫もしかり。遺伝子組み換えで、農薬とか除草剤を売りつける作戦の会社に外注するほうが、害虫
よりタチが悪い。少し耕しを経験すると、そんなコトワリがわかってくる。
昼飯前(田舎の人は朝がはやく、朝飯前に畑にいったり、海にいったり・・一日が有意義)に、
三輪福さんにそば打ちの特訓。彼女は能登に移住する前、清住白川から天真庵にやってきて、みっちり
そば打ちを学んだので、昨日も30分くらいで、そば打ち完了。
昼ごはんは、手打ちそばと、梅茶翁でとれた新鮮な野菜を食べた。
長野県と新潟県の境に「富倉(とみくら)集落」があり、そこの家々に伝わる富倉蕎麦の素朴な蕎麦を思い出した。
交通の便も悪く、冬は雪に覆われるので、「まぼろしの蕎麦」だといわれた。
都会のきれいすぎる蕎麦とは真逆で、野趣満点なうえ、おばあちゃんたちの土くさい滋味がいい。
そば前にでる、「やたら」とか自家製の野菜の漬物は、まさに「おふくろの味」そのものだ。
梅茶翁も、この秋から「農家民宿」を始める。志半ばで召された安倍さんが、声高にのたまっていた
「ワーケーション」なんかに、うってつけの場になりそうだ。米も野菜も梅も自給。そばも手打ち。
その後、穴水の温泉に浸かり、家に帰って、到来もののサザエを梅酢であえ、酒を飲んでいたら、
島原のじゅんちゃんからショートメール。「今、彩雲にきて飲んでます」
とのこと。しばらくして、筆子さんのスマホに、酔いどれ動画メールがきて、「オンライン飲み会」
が始まった。彼女もなつき君と墨田区から島原に移住して6年。先々月、能登珪藻土竈の注文をうけ、帰省の足を
のばして、島原まで納品した。その時「秋は彩雲で蕎麦会」の約束。さっそく彩雲の主人を口説いて
「OK牧場がもらえた」とのこと。神楽坂で名店と評判の彩雲のご主人とコラボとは、すこし
気がひけたが、じゅんちゃんが頼むと、あのピーター・バルカンさんも、南島原にはせ参じる凄腕・・さすが。
オンライン飲み会のお開きのタイミングで、その主人が真っ黒に日焼けした顔をのぞかせ、
「ぼくもそば打ちがやりたい」と、まるで歌舞伎の席からの掛け声である「大向こう」のような声で登場。
さすが、じょぎ(女義太夫)の美人太夫さんを嫁にした大事を成就させた「声」と「間」だな~!
そんわけで、また九州に「そばのお弟子さま」が増えそうな感じ。「よー・ナンキュー」と自分に大向こう(笑)