亀戸を徘徊散歩

火曜日の井上・ドネア戦を、アマプラで見た。
こんなビッグマッチを地上波がどこもやらず、アマゾンプライムが独占。
おかげ?か、埼玉アリーナのリングサイドチケットが20万で、井上のファイトマネーが
1億2000万。
アマゾン・・で、本やCDを良く買う。能登にいても、東京と時差を感じず、注文したらはやければ
翌日には能登の家の郵便箱に届く時代。その郵送費がタダになるという宣伝文句につられ、会員になったのだが、
まさか、それで世紀のビッグマッチを見れるとは・・・

2回でレジェンドのドネアはTKO負けをした。ぼくは、もちろんドネアを応援していた。
西岡がドネアに挑戦したころも、ドネアを応援していた。あの時代に井上がかわりに挑戦していたら、きっと井上
はリングで横たわっていたろう。そのくらい全盛期のドネアは強かった。今回は39歳、しかも二階級下に体重を落として
リングにあがった。ドネアとくに「顔」がいいのだ。ハンサムというより、自然。スパーリング、リングへ登場する姿、
闘う姿、花道を去っていく姿・・・どこも平常心で、いばっていない。貴公子といわれた故・アルゲリョとドネアのふたり
のレジェンドの美しさは、世界遺産やと思う。花道を去っていく姿は、ボクシングの殿堂もの。

昨日は、雨があがって、亀戸を徘徊散歩。
なじみ(ここの主人がうちにくるほうが多いけど)の骨董屋をのぞく。
「だいぶかたずいたね」と冷やかす。いつも茶道具・カメラ・掛け軸・額・・・珍品が
所せましに置いてある。
机の上で、銅の器を磨いている最中だった。「いい火起こしやね」というと、「さすが」
とほめてくれた。「いくら?」ときくと、「2000円」。
正確にいうと、その上に、鉄性の火起こしがあって、実用になるもんだ。
「上は?」というと、「ない」といって笑った。「あいかわらず、ドウしようもない商品が多いね」というと、
「おもいろい」といって、そのドウをくれた。

その横に、直径30㎝弱のSEIKOの時計版。針も機械もない。それだけ・・・
「これは・・?」と問うと、「今は高級マンションになったけど、あそこにSEIKOがあった・なごり」という。
「これ買う人いる?」とたずねたら「天真庵に飾っておいて」といって、包みだした。「いくらなの?」ときくと
「もちろんあげる」とのこと。

もらってばかりではしょうがないので、「何かおもしろいものない?」
ときくと、「白井義男さんのサイン入りグローブがあるよ?」という。
日本で初めてのボクシングの世界チャンピオン。
その次に世界に挑戦したのが、ヨネクラジムの米倉健司さん。
チャンピオンになれなかったけど、ガッツ石松はじめ、たくさんのチャンピオンを産んだ名門ジムを築いた。
今回の井上のジムの大橋会長も、そこのチーフトレーナーの松本さんも、ヨネクラジム出身の元チャンプなのだ。
ぼくも10年間、通ったジム。

「そんなレアーなもの、誰がもっていたの?」
ときくと、「近くのマンションに住む大金持ち」から始めり、その人が財を成した物語や、ボクシングが好きで
後楽園に通っていた話、陶芸品のコレクターで、ある陶芸家を熱烈に応援していた話」をきいた。
その陶芸家の器が、鈎付きのショーウィンドウにあまた飾られていた。

「今の金持ちは、金ができると、その金でまた金を増やすことばかり考えているような輩ばかりで、
風流もユトリもないよね・・・」という話になった。その骨董屋の主人も骨董をはじめる前は、デザイン広告の世界で
ちょっとした名前をあげ、少なからずの財をなした経歴の持ち主。
そのへんの話をしだすと止まらなくなり、あげくのはては、時間前に暖簾をさげ、亀戸駅まわりの縄暖簾にいっしょに繰り出す
ハメになるので、椅子をたち、お暇(いとま)を願った。猥雑な街ではあるけど、亀戸はおもしろい街だ。
その縁あって、ショーワインドウに飾った陶芸家が、天真庵の器をつくってくれる久保さんの師匠である話はせず、次回にもちこしになった。感謝。