北千住で飲む

水曜日、池袋で珈琲豆を調達した後、北千住駅で、てるみん、ともちゃんと
待ち合わせ。ふたりとも、昭和62年生まれで、「いくつ・・?」か聞けへん
けど、若い。「高齢者がやっている純喫茶巡り」が趣味で、天真庵もそのくくり(うちは、不純喫茶やけど)で選ばれ、
ときどき「ほぼぶらじる」を飲みにこられる。

要するに、自分たちがかつかつひっかかって生まれた「昭和」の残り香のある喫茶店が
好きらしい。ともちゃんは、故・たまちゃん(元浅草芸者で幇間芸の悠玄亭玉)の三味線の弟子でも
あって、ときどき所縁の浅草や下町の居酒屋なんかで一杯やるようになった「のみとも」でもある。
本日の飲み会は「奥深い酒飲みの聖地・千住の居酒屋で飲む」のコンシャルジュ、というより、
ボディーガードみたいな役目かな?

3時半に合流し「まず、駅前の喫茶店にいきましょう」というふたりの意見を無視し、徒歩二分の
N(有名な大衆酒場)にいく。昼間からカウンターに「ひとり飲み」の左党たちが座り、ビールや
徳利を並べている。(お勘定をしやすいように、老舗の酒場は、空になったビール瓶や徳利、料理の皿は
そのまま置いてある。ある意味、今の開店鮨もそのなごり?)
名物の千住揚げ、肉豆腐、ポテサラなどをつまみに、赤ラベルを一本、山形の初孫を二合が、ウォーミングアップ。
そのまま、このお店で飲みつ続ける、という「ながっちり」になりそうなくらい居心地がいいけど、一時間くらいでお勘定を
すませ、線路を挟んで反対ガシに向かう。最近、神田にあった電気大学がこの地に移転し、酒飲みおじさんの聖地が、
学生街になった。ラーメン屋さんの玄関にたてかけられたメニューに「モーラー 朝6時から」というのを見つけた。
モーラーとは、「モーニング ラーメン」の略らしい。余談ですが、ぼくの生まれた北九州の門司(ぼくは小倉)というところには
「チャンラー」というメニューがある。チャンポンとラーメンの合体みたいなモン。

その「モーラー」ラーメン店の手前に「A」という日本料理屋がある。15年前に、天真庵を改装中、中西くんやuna、林くんを
連れて、飲みにきたことがある。久保さんの器も使ってくれていて、センスのいいお店。
その先に、今年一月にできた新しい居酒屋がある。表の看板に「金沢おでん」「能登の食材・・」と書いてある。
5時開店までに15分くらい時間があったので、界隈のお惣菜やでコロッケを買ったり、ながくやっている街のパン屋さん
で、焼きそばパンなどを買って、その「なんやら」(店の名前は知らない)という、能登ゆかりの居酒屋に入る。

残念ながら、能登の地酒がなく、福光屋の酒をぬる燗にして、能登の魚をさかなにして1合、金沢おでんで一合、
3種のポテサラ(チーズ味・海藻とイクラ味・ラーユ味)で一合、富山揚(鹿児島の揚げがさつまあげ、千住が千住あげ、富山の魚をつぶしてあげると富山あげ・・)げで一合・・・ほど飲んだ。

「まんぼう」が解除されたとはいえ、やはり盛り場に昔のにぎわいはない。しかも戦争モードも加わり、
日本人も「日本もまきこまれそう」という不安な面持ちをぬぐえない日々。
ほんとうにサバイバルな時代になってきたけど、座して死を待つより、生きているを喜ぶほうに足を踏み出したいと思う。
生きにくい時代やけど、「自分らしく生きる」という当たり前のことが試される時代になってきたようにも思う。
千住の駅の近くに「やすらぎ」という居酒屋がある。ふたりに、「今度はあのお店にいこう」と約束して、押上にもどった。

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