過疎地で生き抜くねこちゃんたち・・

能登の家から徒歩3分で海にいける。「海付きの家」だ。
そこに小さな船着き場があり、伝馬船が行き来する。陸の上では足が
おぼつかないじいちゃんたちも、船にのるとしゃきっとして、海原を風を
きって颯爽と走り、釣りをする。しばらくして、港にもどるエンジン音が聞こえる
ころ、岸では「おかえりなさい」と三つ指をつく姿で、野良猫ちゃんたちが10匹ほど
待っている。まるで孫にお小遣いやお菓子をあげるような、ほんわかした風景。

海辺で焙煎していると、その子たちが、寄ってくる。嗅覚が人の何百倍もある猫に、
珈琲の香りがどんな風に感じられるか、想像もできないが、食べるもんじゃないことを悟ると、
踵をかえして、もどっていく。隣のばあちゃんが、ときどき残飯などを、皿にのせ、玄関先に
置いたりしてた。最近体調がよろしくないので、外へはでず、街のケアマネジャーさんたちが訪問して
身の回りのことを世話したり、息子さんが時間を見つけては、訪問している。
日本中どこも「親の介護」や「身内の介護」が、避けられない日常で、苦労している。

昨日の朝、近所のじいちゃんが「朝釣った」といって、ハチメ(めばる)を5匹くれた。
さっそく、頭を落とし、はらわたをとり、塩焼きにして朝ごはん。おかしらは、小さく刻んで
野良ネコたちにお裾分け。

選挙の投票所まで、歩いて一時間。帰りに「地元の唯一のデパート」の中根酒店へ立ち寄る。
「牛乳の小さいのないの?」とおばちゃんに聞くと、「大きいのしかない」といった後、
「めずらしいね?牛乳飲むの?」というので、「・・・・と状況を説明」したら、
「ほんなら、私が飲んでいるのをペットボトルにいれてもっていきなさい」という。
「それじゃ商売あがったりやから、大きいの一本ちょうだい」といったって、冷蔵庫から
だしてレジ(電卓をちゃぶ台においている)で、賞味期限を見て「あと3日で賞味期限やから、
これもっていき」ときかない。おまけに、いりこというか煮干しの袋を棚からだし、
「これも賞味期限が近いので、ねこちゃんにあげて・・・」とのこと。

それじゃ、まったく財布のお金を使わないので、レジ近くにあった「切りもち」を380円で
買った。先日、珠洲の道の駅で「能登大納言」を買って、土鍋で炊いたので、餅を囲炉裏で
焼いて、餡子をのせて3時のおやつにした。庭先では、ねこちゃんたちが牛乳と煮干しを
食べている。
「お互いに、生きていくって、大変やな」と声をかけた。うなずくように「ニャー」という返事
がかえってきた。

能登にきて一週間くらいになるが、ぼくの財布からでていったお金は、おもちの380円。
ちょっと雨模様だけど、今日は「じんのびの湯」にいって、近くのスーパーで買い出しの予定。
昨日、まだ半分眠っているようなタコをゲットしたので、今日は「タコ飯」をつくる予定。
それに入れる「うすあげ」が一枚あれば、ことたりる感じ。土鍋にタコとうすあげをきざみ、醤油と酒を
ちょっといれて炊くだけ。地もののタコは、ほんとうに美味いのよ。
「原始的ぶつぶつ交換」と、土を耕し、釣りをし、ときどきそばも打ち・・・
という田舎暮らしをしていると、サムマネーは必要だけど、ほとんどお金を使うことがない暮らしになった。

新しい石川県知事は馳浩氏(60)が当選した。元プロレスラー。

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