今日で今年の味噌作りが終わる。
朝そばを打つ傍らのストーブの上に、二日前からつけた大豆を
おいて、ことこととゆでる。1月の末から、毎日コツコツとそんなことの繰り返しで、
合計百余名の「手前味噌」をつくってきた。
今年は九州の大豆が雨でだめだったので、急遽、能登に移住して自然農で大豆を
つくっている「地球知足」さんの大豆が大活躍した。
明日の仕事が終わったら、能登に向かうので、なにか土産をもって訪れたいと思っている。
「知足」・・・寒山拾得の絵は、「足るを知る」を教えてくれる。すると、今の自分の生活に不満がなくなるので、よその国までいって、
血を流す戦争なんかこの星・地球からなくなるのではないかと思うけど、人間というのは、
なんどもスパイラルのように、同じような過ちを繰り返すもんだなあ、と思う。
日ごとに小春日和のいい天気が続くけど、裏腹になんとなくこころは暗い気分。
今朝の朝日新聞の別紙の「フロントランナー」に、新宿歌舞伎町でナンバー1のホストになり、今では
ホストクラブの他に、美容院や介護施設まで経営している手塚マキさんが紹介されていた。
コロナ禍で、歌舞伎町が悪の根源みたいにいわれはじめたころ、新宿区長から「夜の街の感染を
食い止めるためにどうしたらいいか」と真っ先に相談を受け、仲間たちとも話し合い、いい街をめざす運動の
先端を走っていたひとで、よくテレビにもでていた。
なんかことあるごとに、「自分の人気獲得のチャンス」とばかりに、せせり出る妖怪都知事とは、似て非
なるひとだ。
昨日、池袋界隈を散策した時、芸術劇場の前に立ち並ぶチェーン店の前を通った。かつてここに池袋で一番
高級なクラブ(クラブーぼりぼりのあれではない。キャバクラでもない。正真正銘のクラブ)があった。
そこの雇われ店長とは、ゴルフ仲間でもあり、ときどきお店にも顔をだした。銀座が座っただけで5万円なら、
池袋の相場は8掛けくらいだったかしらん。店長は昼間は、お店の前で立って、穏やかな目で客引きをしていた。
正確にはお店の女の子の「スカウト」をしていた。少しオカマっぽかったけど、それがかえって警戒心をあたえず、
リクルートされて、その世界に誘われた女子があまたいた。
「どんな子をねらっているの」と酒の席で聞いたことがある。「容姿も大事だけど、やはりこの世界で頭角をあらわす
のは、努力を惜しまないひと」だとのこと。芸能界と似た、いや、どの世界でも共通のことだと思った。
手塚さんの話によると、「私の店のホストには、マニュアル化された画一的なサービスをするのではなく、
お客様がうれしい時には一緒によろこび、悲しい時には一緒に泣けるような人間であってほしい。それはAIには
できないことです。感情や知識、教養の幅を広くもって、共有できる人がこれからの時代の大事な人材になる。そう考えています」
とのこと。
コロナ禍でお店を休業していた期間も、「自分磨きの期間」として、オンラインでソムリエの勉強会や歌会を
やっていたそうだ。
AI時代に、求められているのは、やっぱり「人間力」なんだなあ、とつくづく思う。