9月4日(土)から10月24日(日)まで、2度目の国際芸術祭が
開催されている。
半島の最北端。でもこの芸術祭でいろいろな国から、多士済々の人たちや、
それに縁ある奇人さんたちが集まってきて、珠洲は能登半島では屈指の移住者の多い
町だ。
昔ながらの揚げ浜式という古式ゆかし方法で塩をつくる名人じいちゃんがいる。
天真庵の味噌作り、梅干しつくりには、みなじいちゃんの塩を使っている。
「塩分とりすぎ」云々・・・世間はうるさいけど、政府がミネラルたっぷりの自然の塩を、
専売公社とやらをつくって、ケミカルな塩化ナトリウムを「塩」と見立てて、国民に
強要してからこっち、日本人の健康に赤信号が点滅するようになった。
名人じいさんの塩は、なめてみるだけで、ビタミネたっぷりの海の慈悲深い味がする。
味噌や梅干しにすると、もっと顕著になるし、時間がたつほどに熟成された味わいになる。
一般に塩に比べて、値段は高いけど、その「手間」を考えたら、適正な「お値打ち品」
というか唯一無二の逸品だと思う。
じいちゃんは、夏には、梅干しをつくり、紫蘇を干して「梅塩」をつくる。
前の海でアゴ(トビウオ)をとり、炭火で「焼きアゴ」をつくる。炭火に使う薪もチェーンソーを使って
自分でつくる。「能登の自然まるごと自給自足のじいちゃん」だ。
炭火で焼く関係上、まるごとではなく、背開きにして焼く。これが九州のアゴとは違ったやりかた。
ぼくの蕎麦汁は、そのアゴを使ってつくる。だから、珠洲のじいちゃんちへは、毎月
のように通い、四方山話をしながら、過ごすのがなによりの楽しみだ。もうすぐ80歳に
なるけど、皺に人生はきざまれ、笑う顔には慈しみにあふれている。
その後、大野製炭工場にいき、能登の炭を10K調達。この炭も能登の冬には大事な暖の素だ。
東京の天真庵の冬も、ペレットストーブと石油ストーブと、炭火の三点セット。
塩、アゴ、梅、水、炭・・・・天真庵で使うモノの8割くらいを能登産でまかなっている。