能登の家から600mに、「義経の舟隠し」と、松本清張のゼロの焦点の舞台になった「ヤセの断崖」
というのがある。映画化されたロケ地は、この集落が使われた。
冬の能登の海は、海風に雪が舞い、雲があつく覆い重なり、この世のハテのような
様相になる。二度映画化されたが、最初の映画が、「能登」の奥深い世界がよくあらわれて
いる。
反対方向に600mいくと、大笹浪棚田ビュースポットがある。輪島の千枚田ほど有名でないけど、
駐車場もあり、そこから棚田を右手、左手に海が見えて気持ちがいい。今は稲刈りの季節だ。
稲作りはだいぶ機械化されてきたけど、棚田などは機械が入りにくく、まだ手でやっているところが多い。
刈り取った稲穂を、「はざがけ」という、木で柱を組んで、そこにかけて、天日干しをする。
最初は穂先の黄金色とそれをささえる茎の緑が対照的だが、ひごとに、緑がうすれていき、その
こくこくのグラデーションの変化が、秋を感じさせる。
刈り取られた田圃に、セキレイが落穂ひろいをしている。そのセキレイをトンビが狙う。
穏やかな田園世界にも弱肉強食の世界が広がる。でも、除草剤や農薬や遺伝子組み換えで、食の
世界を席捲しようと試みる人間世界のほうが、もっと恐ろしい。
昨日は、「安全な食事」の教科書(ジル=エリック・セラニーニ ジェローム・ウーズレ 田中裕子訳 ユサブル)
を、ウイスキーを飲みながら読んでいたら、寝れなくなって、深夜まで飲んだ、いや、読んだ。
いろんな圧力があって、「ユサブル」という出版社が手をあげて翻訳本をやっとだせたらしい。
モンサント(今はバイエル)という会社が、いろんな手を使い、政治家や学者と癒着し、遺伝子組み換え(GM)作物、
農薬、化学肥料、食物添加物などで、人の健康や地球環境をこわし、「自分だけよければ」を謳歌している。
世界は、彼らに訴訟を起こしたり、ノーをたたきつけているけど、日本では、「安全で安心な」
みたいな広告いったんばりで、スーパーの菜園コーナーには、どうどうと並んでいる、のが実情だ。
「危険な食品があふれている理由と正しい食と健康を手に入れる方法」と、本の帯に書いてある。
この本を読んだからといって、学校の成績や偏差値に影響することはないし、余命いくばくを
ある程度計算できるわれわれ世代はともかく、「これから」を背負う日本人には、読んでいただきたい一冊。