手押し車も、包丁も、七輪も一生もの

能登で、おばあちゃんが手押し車をひいて、路傍で山菜を積んだり、海岸で
海藻をとったりする姿を見て、「アウトドアグッズ」だと悟った。
能登には、もうふたつ伝統的なアウトドアグッズがある。

ひとつは「マキリ包丁」
九州から日本海経由で北海道まで、命をかけて渡りあるいていた北前船。
漁師さんたちが、今でも必ずもっている水陸両用の万能包丁。
釣れた魚を捌く時はもちろん、海が荒れ、イザという時は、船のロープを切るし、
陸にあがった時は、鉈替わりに、道をさえぎる蔓や木の枝を落とす、山菜を捕る、
イノシシや獣と遭遇した時は、武器になる。
家庭用の文化包丁とは、少し次元が違う包丁。
「ふくべ鍛冶」で検索すると、能登の鍛冶屋さんのページがでてくる。
イカの包丁が、大ブレークしているけど、マキリ包丁も2年近く待ち状態。
「ホンモノ志向」というか、どうせ買うなら一生もの、という日本人が増えてきている。

もうひとつは、珪藻土の七輪。昨日紹介した本「理不尽な進化」にもでていたけど、
恐竜が滅んだとされる、地球と隕石の衝突の時、しばらく大気圏に二酸化酸素の層ができて、
太陽光が届かず、地球の温度が下がったらしい。その時、珪藻(海で生息する単細胞のプランクトン)は、
冬眠するという習性がたまたま生かされ、絶滅をまぬがれた、らしい。
その珪藻が、化石のようになったものが珪藻土で、能登の珠洲が埋蔵量?が一番で、昔から
能登の家には、必ずといっていいほど、置かれている。サザエや魚などを、炭火で焼くことの贅は、
都会くらしには高値の花だが、この珪藻土は、軽くて、使った後はすぐ熱がさめるので、車の中
に積んでいると、ここという時に「いきなりバーベキュー」ができる。
ただし、車の中で使用すると、「いきなり天国」の可能性もあるので、気をつける必要がある。

ぼく的な「アウトドア用品の三種の神器」

今日は、土曜日なので16時まで営業。
その後ふたりの「そばもん」が、蕎麦打ちにやってくる。
時代のせいか、みんなまじめに蕎麦打ちとか、珈琲塾にやってこられる。
生徒さんが真剣だと、こちらもスイッチが入って、気合が入る。
そばも珈琲も「道具」がつきもの。茶道・華道・武道・・・・
日本人が学ぶもので「道」という字がつくもの、それにつれそうようなものを「道具」という。
みんな命がけで通ってきた道に具わったもの。
ぼくの仕事場の道具は、久保さんの陶器(そばの器、珈琲カップ、輪花ドリッパー・・・般若くんの木工(椅子、そばのまな板、ちゃびつ・・・角居くんの金工(お茶道具の茶たく、燗酒用のチロリ、茶合など)
使いこなしながら、時を共に刻んてきたものがあふれている。みんな「手」の中の仕事つながり。縄文人から受け継ぐ「ものつくり」の原点がそこにある。感謝。