能登の能登町というところに、「ふくべ鍛冶」という老舗の鍛冶屋さんがある。
3年ほど前、こちらに移住をきめた時、能登の漁師たちがみなもっている「マキリ包丁」
を注文した。北前船で九州から北海道までの海路を往復する海の男たちが、
「サケの腹をさばき、イクラをとったり」「危険な時は、船のロープを切ったり」「丘にのぼれば、
山菜をとったり、マタギ包丁のように四つ足を解体したり」・・・というアウトドア万能の包丁を
つくりあげた。能登の漁師たちは、注文したマタギ包丁ができると、自分で鞘をつくり、それを
どんな時でも身につける、というのを、「能登の男のみだしなみ」レベルの感覚で一生モノのように
もっておられる。
コロナ禍の中、「男子厨房にも立とう」という機運もあり、包丁などに「こだわり」を持つ
輩も増え、ふくべの「マキリ包丁」が、一年ちょい待ち状態で、大人気ならしい。
本日、梅茶翁の梅林の草狩りにいく道すがら、「津久司鮨」「数馬酒造」「ふくべ鍛冶」
を梯子した。マキリ包丁は、日常に使っているけど、最近そこで人気沸騰の世界一長い名前の包丁が
話題になっている。「イカ用出刃包丁 待ち時間24か月」・・・性格がいいかげんなので、正確な
名前はネットで検索してほしいけど、ここの「刃物」はホンモノで、しかも安い(この包丁も一万もしない。5800円?)
これもネットで確かめてほしいけど、信じられないくらい安い。その場で若女将に注文。昨日の昼ごはんの内容も失念する年ごろなので、
二年後に覚えているかどうか不安ではあるばってん、とにかく注文した。
「津久司鮨」は、さかなくんらコアなファンが支える「能登一」の鮨や。
ランチの鮨は、地元の魚が8貫で550円。ぼくはいつも12貫の「大盛?」で、これが750円。しかも神経じめなど手間がかかっている。
しかも、久保さんの備前の大皿に盛られてくる。これはぼくが、主人が離婚された時の「離婚祝い」にあげたもんだが、
そのあたりから、人気が沸騰し、腕もあがり、遠くは、金沢や他県からもお客さんがやってくる。
土曜・日曜は、お昼だけで「100人」くらいくるようになったらしい。いつも合言葉のように「算数ができんようになった?」
と質問する。主人は「もともとできません」と答える。備前の皿もだいぶへたってきたので、本日はまた違う長皿をプレゼントした。
そこから徒歩2分のところに、「竹葉」の数馬酒造がある。
昨年11月、世界最大のワインコンテスト「IWC(インターーナショナル・ワイン・チャレンジ)」
で「竹葉 生酛純米 奥能登」が金賞をとった。能登の酒造はみなレベルが高いが、この金賞をとったのは
初めての快挙だ。
いつものように、一升瓶6本をお店で注文していたら、若女将がでてきた。
「世界チャンピオン おめでとう」といったら、「みんなで抱き合って喜びました」とのこと。
五代目蔵元が、34歳。彼女はその嫁はん。これからが楽しみな酒蔵だ。
その後、梅茶翁にいき、梅林へ・・・
やはり今年は梅雨入りが速いので、梅がたわわになっていて、木によっは「マスカット?」
というくらい梅の実がたわわになっている。
毎年6月の終わりに「梅仕事」をするのがなわらしになっているけど、少し前にしないと、まずいかもなんばん。
さっそく能登の家にもどり、カレンダーを眺めながら・・金賞をとった「奥能登」を飲みながら、
かなり酩酊しながら、6月のスケジュールを調整中。
明日の朝、東京に向かう。忙中閑あり。
「閑」という字は、門に木の鍵がかかってある象形文字からできた。
「暇」みたいなニュアンスでいたけど、東京と能登を往復していると、時間の「質」
の違いが体全体で感じられるので、それが「暇」ではなく「生」(生かされている)という
自然と一体になった感が感じられるようになった。
「ゆたかさ」とか「幸福感」みたいなものは、この「閑」の中に入っていそう。
都会の疲れをとる。ボーッとしていても、とれへん。土を耕したり、梅林で剪定をしたり・・・
やはり「いい汗をかく」をしながら疲れをとる。そんなコツが少しつかめてきたかもなんばん。感謝。