能登のあさごはん

湖月館で、黒藻のしゃぶしゃぶがでた。
土鍋に、水がはってあって、それを蝋燭の火で温め、
沸騰したら、片口の取り皿にとって、食べる。いじょう!
ワカメや岩ノリもそうだけど、余計な豆腐とか、長ねぎとか、鳥肉や四つ足もの
の肉、魚などはいれない。それがまた美味いのである。
ただし、はってある水の中には、「いしる」(いしる)が入っているのだ。

大塚に「串駒」という有名な居酒屋がある。主人は還暦前に召された。
熊本出身で、いつも着物を着て、髪を長く伸ばして、仙人みたいな風貌やった。
そこのおやじが能登を旅して、「いしる」に出会い、「いしる鍋」を名物料理に育てた。
彼が鬼籍に入ってからは、一度もお店にいってないが、たぶん今でも「いしる鍋」はあるんじゃないかしらん。

春、藤の花が咲くころ、縄文人は「そろそろイルカがやってくる」ことを知っていた。
みんなで協力して、イルカを捕り、みんなで仲よく分けた。冷蔵庫も冷凍庫もない時代なので、
「魚醤」を使って、余った肉を保存した。能登の「いしる文化」はそのなごり雪。
♪なごり雪も 喰うときをしり・・・

縄文真脇遺跡のある能登町あたりは、「内浦」といってイカがよくとれる。富山湾側なので、
ブリの漁場でもある。だから魚醤の材料に「イカ」が使われる。
反対側、能登の天真庵側は「外浦」。風が強いけど、海藻やかにやイワシが豊富にとれる。
だから魚醤は、「イワシ」を使ってつくる。
季節のあいもの。たとへば、筍の時期に、ワカメがとれ、それを同時に炊いたんが「若竹煮」。
同じように、ワカメや黒藻がとれる時期に、その地で醸されてきたイワシの魚醤を入れて
シャブシャブをする、というのは、料理の神髄の「食材の理(ことわり)」にかなった方法だと思う。

そんな簡素なものの中に「ホンモノ」がいっぱい。
間違えても、「のどぐろが食べたい・・・ボリボリ」なんてほざいては無粋だ。
どうぞそんな輩は「のどぐろ専門店」や高級という冠のついた旅館にいってくだされ・・・     

今朝の朝ごはん

珠洲のじゃむやさんにもろうた筍を使って土鍋で「筍ごはん」を炊いた。
庭に自生している「ふき」を、塩を板ずりして、ゆで、魚醤と酒を加えて、能登風ふき、をつくる。
東京から運んできた糠味噌でつけた胡瓜のお漬物。味噌汁の実も「ふき」と「さざえ」
まだ、能登にきて、買い物をしていない。O円生活。
徒歩25分のところにある「総合デパート」の「中根酒店」にもまだいってません!今日あたり
ビールでも買いにいってくるか。感謝。