これから、「卵かけごはん」
2011年の一月から始めたので、10年になった。
それから何年か後に、アドマチック天国にでて、スタジオまで持ち込まれ、
スタッフが食べるシーンが放映されたことがあり、その時は、朝から
行列ができていたけど、今では落ち着いて、常連さんたちが、大黒湯
という近くの温泉がある人気の銭湯で朝風呂に入った後に立ち寄ったり、
「早朝蕎麦打ち教室」で、そばを打った後に、食べたり・・
雨が降ろうが、槍がふろうが、必ずこられる神様みたいな常連さんもいる。
能登休みが、火曜日からになったのは、その神様のために、神棚にお供えするように、
卵かけごはんを終え、その日の営業を終えて出発することに、あいなった、しだいなのですばい。
能登の家まで、東京から550kくらい。全部高速道路だと、なんということがない距離だけど、
途中から下道で能登路を走るので、いつも松代あたりで、仮眠をとる。高速道路の上は、お酒が
打っていないので、クーラーボックスの中に、そば、そばつゆ、などを入れたすき間に、「そば前」
の酒と、卵焼き、かまぼこなど、そばやの定番の酒肴をしのばせてくのがならわしだ。
どこへいくにも、「21世紀の旅茶碗セット」をもっていくので、その中の宝瓶の中に
忍ばせている煎茶碗が、旅先では、酒器のピンチヒッターになる。もっといえば、その
宝瓶かて、鍋の中に湯をはっていれると、「燗鍋」に早変わりする。
極端な話、車の中に、「21世紀の旅茶碗セット」と、「七輪」(できたら珪藻土がいい)、と炭を
積んでいたら、どこでも暮らしていける。春の山は山菜の恵みがあり、四方が海に囲まれた国なので、
釣りが少しできれば、朝ごはんなんて、朝飯前に調達できる。
昔、クロネコなどがない時代、お茶の生産地から、各地のお茶やさんまで、木の「茶箱」でおくられていた。
だから、お茶やさんにいくと、「八女茶」とか「静岡茶」とか、生産地のラベルが貼った「茶箱」が積んであった。
中に保湿用のブリキが施されていて、着物や小道具などを入れる収納箱として、今でも、整理上手な人の宝物。
玉露など、貴重で生産の少ないお茶は、底がA4より少し大きめくらいの、小箱で流通された。
14年前、天真庵が十間橋通りに産声をあげた時、この通りにお茶やさんがあった。お店をやめる時、
その小さな茶箱をいただいた。並びの骨董屋から、神代杉の折り畳みの小さなちゃぶ台を買い、それを
木工の足立くんに頼んで、茶箱の中に入れる「仕切り」をつくってもらい、上に5cmくらいの丸い
穴をあけてもろうた。旅先に、その穴の上にドリッパーをのせると、珈琲がのめる仕掛けになっている。
仕切りは、風呂場の椅子みたいな形(あの椅子にも、けつの穴ようの穴がほげてあるな~)。
茶箱には、「輪花ドリッパー」「筒形のミル」「紙のフィルター」と珈琲のサーバーは、ニュヨーク
のトライベッカのギャラリーで買った「備前の宝瓶」だ。まさに「宝の箱」のごた~。
これから、いろいろな事情で、ノマド生活を強いられるようなことが、日常茶飯になるやもしれない。
そんな時のために、「命が尽きても、残る一生もの」の道具を、こつこつ、小箱に集める、
という準備も、けっこう楽しいものだ。もちろん、水とか乾パン、使い捨ての簡易トイレなどを入れるリュックの
準備もおこたりなきように、せつに、お願いもうしあげます。
明日からしばらく能登で暮らしまする。
どんな状況にあっても、朝一杯の珈琲やお茶が飲める、というのは、至福な時間であり、そこは「わたしの天守閣」なのです。