熊本からくまもんがきて、二日間そばの大特訓をした。
朝いちばんに手本になるかどうかわからんばってん、ぼくが蕎麦を打つ。
つぎにお弟子様がそばを打つ。最初はまだ打つ時間が一時間半はかかるので、
ここでお昼ごはん。ごはんといっても、そばだ。
キシメンからそうめんまで、なんでもありますチンカラリン、の、ろばのぱんみたいな
新人麺類をゆで、食べてみる。お世辞にもうまいといえないばってん、打った本人は
「うまかっちゃん」と感嘆。
続いて、不肖師匠のそばを食べる。「同じそばだと思えないね」(これは、広島ではじめて
高橋さんの前で打った時に、言われたことば」とは、いわないけど、お弟子様が
「こんげ、ちがうんですね」と笑う。最初はみなそんなものだ。
そば湯を注ぎ、蕎麦猪口が空になったあたりで、「さ、もう一度やろか」
と、二回目の蕎麦打ちを午後に打つ。さすが、石垣島で長いこと民宿をやってきた体力と気力
がものをいわせ、二回目は一時間を切り、午前とはベツモノのそばができた。
その後は、「どんなそばやを目指すか」とか「席数は」「厨房の中の配列」や「道具や器」
の話をする。駅前のRホテル(コロナの前は一泊15000円くらいだったのが、今は半分以下で泊まれる。先週
椅子を張り替えてくれた般若くんも二泊した)が宿なので、合羽橋までの地図を書いて解散。
翌日も同じカリュキュラム。「寝る前に読めたら読んで」という、少し哲学的なそばの本を渡していた。
その本を読んだ効果?かどうかしらないばってんがくさ、昨日よりプロっぽい、少し角がたったそばが
できあがった。雨が降っていたけど、連休初日のせいもあり、暖簾はだしてないけど、お客さんが入ってくる。
宅急便やアマゾンや大地宅配や、いろいろな人が玄関から入ってくる。
お昼ころ、宝石やのまーくんが、隕石グッズを買いにきた。まだそばができあがっていないので、
前日の「そばかす」(そばをそろえるために、最初のヒトキレ、とか上をチョンと切りそろえた後のカスを、ガレット用
に残しておいたもの)を、渡す。続いて、そばのお弟子さまでもあるおっさが「珈琲豆ください」とやってきた。
いつもは、豆を詰めるまでデミカップでホボブラジルを試飲してもらうのがならわしだが、休みなので
「まだ二日目で、不ぞろいやけどそばもっていく?」と聞いたら「まじっすか ちょううれしい っす」
といって帰っていった。続いて珈琲のお弟子様が自作のスイーツをもってきてくれたので、新人そばもんくん蕎麦と
ぶつぶつ交換。そんな光景を見ているくまもんが「東京にもこげな街がのこっとーとですね」と笑っている。
「原始的ぶつぶつ交換が、ペイペイより当たり前の街」だ。
二日目の午後、「押上で仕上げのそば」を打つ。それをもって熊本の家族のもとに帰るので、
「肥後もっこす」(熊本の頑固もん)みたいに、口数も笑顔もなく、そば打ち真剣ゼミナールだ。
「本気度」が違う、生きのいい、元気なそばができた。
来月あたりから、熊本の自宅で独学でそばの修行が始まる。実はくまもんに蕎麦を教える(プロ用)のは、彼で5人目。
そして、来月は、もうひとりのくまもんが、そば道場に入門してくる。祭りが有名な山鹿(やまが)の150年
の実家を改装中。熊本に「やまんごと」(いっぱい)蕎麦屋ができるごたー。
昨日は南島原に移住した「くちのつ巷焙煎所」のなつきくんから「純さんが、そばやにすればぴったりの古民家があるそうです」
とメールがきた。「南島原ゴールドハウス」で検索すると、純ちゃんのHPが見れる。墨田から移住したゴールドカップル!
お金も体力もいるけど、一度しかない人生。人生の〆も「そば」という粋な生き方もまたよし。感謝。