顎博士の直してくれたドイツ製の柱時計が、快調に動いている。
「この音を大切にして、まっつぐ(左右にずれるとチクタクの音もずれるらしい)を保ってね」
といわれたように、そこを意識すると、これまで以上に静かだけど、躍動感のあるチクタクが続いている。
しかも、3時には3回のボンボン、5時には5回のボンボンが鳴る。ここで14年近く動いて
いるけど、3時に2回、5時にはサービスで12回、とか不規則なボンボンやった。
魚のアゴは飛び魚のこと。九州では、焼きアゴにして、うどんやそばなどの出汁に使う。
丸干しにして使うのがならわし。能登のアゴは、開いて炭火であぶって干す。
旬は夏で、能登の寿司屋では、アゴのにぎりを出すところが多い。そらをビュンビュン飛ぶ
ような躍動感ゆたかな身は、アスリートのそれのように引き締まっていて美味い。
東京に戻る日の朝、縄文真脇遺跡にいき、その近くの麹やさんを訪ねた。
これまで茨木のおばあちゃんに「生麹」を頼み、味噌作りをしていたけど、寄る年波におされ、
今年でおしまいになった。「きっと醸し文化の聖地」みたいな能登のあるはずだ、とネットで探していたら、
近くにあった。社長さんと名刺を交換した瞬間に「生まれる前から知り合いだった」という感覚になって、
いろんな話をして、麹を実験的に買わせてもろうて、昨日それで味噌を仕込んだ。
また来年の「菌活の会」に、新人の役者麹くんが登場する。
あまりにうれしくなって、「つくしさん」に鮨を食べにいく。12時過ぎだったけど・・木曜平日・・
このコロナ時代に、行列ができている。
挨拶だけだと思い「またくるわ」と声をかけたら、「今年はじめてなんで、ぜひ食べていって・・寂しいこといわんで」と引き止められ、
しばらく待って、鮨を食べた。久保さんの焼き締めの長皿に、12貫の地魚の鮨がのって、岩ノリのお吸い物、
朝どれ雑魚の小鉢がついて、750円。小皿も久保さんの焼き締め。8貫の握りは、550円(もちろん小鉢・吸い物付き)!
いっしょに並んだおばあちゃんが「このお店すごいんですね」と、聞かれたので、手のひらを頭の上でパーにして「大将が算数できんのです」
といったら、すこし間をおいて笑った。回転すしより安く、銀座の高級店に負けない器に、能登前の鮨がのってくる。
間違いなく、能登一の寿司屋になった。
これから5月の連休くらいまで、富山湾のイワシが美味い。
日本で最初につくられた辞書「言海」にも、「氷見のいわし」のことが記載されているくらい。
お金が動くから、イワシより「氷見のブリ」のほうが、有名になっているけど、同じ海の能登側
を泳ぐイワシは、筆舌を超えたうまさなのだ。昨日はまたグラリと大地が揺れた。10年前と
変わりないのは、原発がまだ動いていることだ。世界一魚が美味しい国のまわりの海を、もっと
大切にしたい、と、みんなでまじめに考えたいものだ。感謝。