冬は熱燗 熱燗つける宇宙人・・

昨日のお昼過ぎに、「かっぽれ女(じょ)」が3人、カウンターに並んだ。3月から寺子屋はやめたけど、
ときどき同窓会よろしく、昼酒を飲みにきてくれる。
ひとりは、K先生。サマーズの三村くんのおばさん。昨年は川口葉子さんがある雑誌に、「かっぽれ」を取材してくれ、大きくのった。
彼女の「カフェ本」は、読んでいるだけで、そのお店の珈琲の香りや、カウンターの中でのミルの音や、
音楽、人の会話、店主のあたたかみ、までが伝わってくる。
一月には新しい本がでるらしい。出版社に10冊注文した。

にぎやかな女子会のようなカウンターに常連の紳士(大会社の社長さん)がとまられた。
天真庵が押上にできたばかりのころ、川口さんの「カフェと器の旅」がでて、その中に紹介され、
その社長(当時は、部長さんやった)が、その本に紹介された全国のカフェ約50店を全部まわられて、
店主のサインをその本に書いてもらう、というお遍路さんみたいな旅をやられた。
その縁で、京都の「好日居」さんところで、お茶会をやることになったり、全国で無駄のない縁でつながる仲間
たちが増えていった。「ひとり」の奇人が動くと、世の中はおもしろくなるもんだ。

昨日は寒かったので、ひとりの女子が「熱燗を飲みたい」といった。ちょうど、「燗つけUFO」という
焼き締めの熱燗器に、能登ジェラトン(隕石粉まじりの器)をのせたセットがあったので、それで竹葉を
つけた。カウンターにだすと「これいい~」ということになり、3セットが嫁ぐことになった。しかもみんなそれの
お仕覆をつくる、という。国宝級の奇人ぞろい。
「うめ星」(能登ジェラトンのはじまり)ができた時も、かっぽれの日に、カウンターにすわった女子たち全員が
「もってかえる」となった日があった。来年は、久保さんと温ため中の「新作」があるので、
また彼女たちがカウンターに座る日に、お披露目しようかしらん・・
酒も旅も、究極的には、「ひとり」がいい。そこに、いい酒、いい器があれば、孤独のグルメ以上の至福がある。

今年はシンコロのおかげで、飲食店での日本酒の消費が落ち込み、酒米もだぶついているらしい。
ぼくなんか、好きな酒蔵にいったら、一升瓶で6本くらい買う、のが普通だけど、一般的には
「四合瓶」の人気が高まっているようだ。お酒も飲みやすいように、アルコール分を減らしたものや、
スッキリした味のものが好まれている、と今年の「ダンチュウー 日本酒」にのっていた。
四合瓶にすると、そのまま酒器に入れて飲むので、片口や徳利の出番がない。
「お風呂に一升瓶といっしょに入り、共にあたたまりながら、そこで酒を飲む」のが、熱燗を
最高にうまく飲むコツだと豪語した立原 正秋という作家がいた。それは極端だが、ヒャッキン器に入れて、チン
する今日日の家飲みからは、そろそろ卒業してもらいたいものだ。柳美里さんの「JR上野駅公園口」
の中で、ホームレスさんがブルーシートの家の中で、カセットコンロで湯を沸かし、そこにワンカップ大関を入れ、熱燗を
飲むところがある。チン酒とは似て非なるくらい、美味いと思う。

シンコロのおかげで、国も企業も、家族も個人も・・・みな「浮き草稼業」の様相を呈してきた。
恐慌や災害がきて、だれもが、避難所や野宿をするのが当たり前、の事態もるかも知れない。
「貯金」も大事だけど、そんな中で生きていくコツは、ホームレスさまとふれあうことも大事だと思う。