♪たん たん たぬき の きんたまは・・・

昨日から、新しい炎色野で陶展をやっている渡辺愛子さん。
来月はスイスで展覧会をやらはる。みるみる頭角をあらわし、
名にしおう陶芸家になった。伊賀に窯をつくった(東京と伊賀のデュアルライフ陶芸家)時、
大阪出張にあわせて、遊びにいったことがある。仲間の陶芸家たちと、窯場でバーベキュー
をしながら酒を飲んだ。20年近く前の話だが、その仲間たちも、今では立派な陶芸家になった。

一昨日、おかまのMくんとイルフィオレットから梅鉢屋さんにいく途中、ちょうど梅鉢屋さんの一本裏手あたりに、
いい感じにうらびれた居酒屋を見つけた。やっているのか、やっていないのか、わからなかったけど、玄関に「信楽のたぬき」
の置物があった。昔から大徳利とキンタマをぶら下げている、信楽焼きの代表選手みたいなやつ。それを見たMくんが、
「ね、見て見て、このたぬきのキンタマ・・・すご〜く大きいわ」と叫んだ。なるほど、なかなか立派なモノをぶらさげている。
そういえば、今の彼が住んでいる長屋の隣の隣は「狸小路」というラーメン屋やった。

銀座に「黒田陶苑」という老舗の陶器屋さんがある。先代はあの魯山人と親交が深く、今でも魯山人の鑑定は
そこがやっている。そこでも毎年、渡辺愛子さんの展覧会をやる。3年くらい前に、当代の主人が彼女に「たぬきを焼いてください」
と要望し、10個ほどつくって展示したことがある。天真庵のカウンターで酒を飲みながら、彼女がそんな話を
した。その時、「いちばん大きなキンタマのたぬきをひとついただきたい」と言ったら、「そんなん、ついてません」と関西なまりでいわはった。

天真庵のオープニングは、渡辺愛子さんが「タコ焼き」を焼いてくれた。そんな旧知の仲なんで、「なんでキンタマつけへんねん」
と問うと、「まだわたしには、でけへん・・」みたいな返事がかえってきたように思う。

アダムとイブがリンゴを食べてからこっち、人は知識をつけたけど、羞恥心も身に付いた。「ホンネ」と「タテマエ」を
使いわけたり、自然な「男」と「女」が、いろんな余計なお化粧して、虚飾がこの星にあふれ出した。
どこの神社とかいっても、狛犬の古いもんには、立派なモノ
がついているし、男性のシンボルをかたどったものが実に堂々と祀られている。自然崇拝そのもの。
「マラ」という言霊も、だんだん進化(退化?)して、麿(まろ)になったり、丸(まる)になったりした歴史がある。
生活が便利になり、自然が遠のき、神の畏敬も少なくなり、マラが消えて、男も女もまあるくなって区別がつきにくい。そのうち、
男という種がなくなりそうな勢いだ。

朝から、ちょっと明後日方面の話になったけど、たぬきのキンタマから、時代の移り変わりを感じたことを、
書いてみた。天真庵の二階に、渡辺愛子作の「たぬき」が、いっこ置いてあります。
次作にキンタマがついた時、渡辺愛子さんの作品は、世界中に広がっているのではないかしらん。同時に
「能登ジェラトン」という隕石粉の土でつくる久保さんの作品も、宇宙に広がっているだろう。感謝。