海のとび職

おとなりさんが、「とれた」といって、トビウオを10匹もってきてくれた。
「すぐにさしみにして、残ったら、背開きにして、海水より少し濃いめの水に浸して、干したらいいよ」
とこと。すぎに台所にいき、能登のマキリ包丁で、うろこをとり、鳥の羽のようなヒレのところから頭を落とし、
内臓をとり、腹びれもひねってとり、小さな腹骨もそぎ落とし、さしみにした。
はじめて能登のトビウオを見た。九州で「アゴ」といわれているのと、大きなが違う。(こちらのは、でかい。)
自分でさばいてみて、なるほど、すしのねたになるな、と納得する。
大きくわけて、「 丸トビ」(九州のあご)と角トビ(能登の大きなの。体の形が角型)にわかれる。
背開きにして、梅酢をかけて、ほしたら、ホッケのようだった。

昨日はそれから珠洲の塩や(揚げ浜式)に車でいく。同じ海で採れる海水を、同じような古式の揚げ浜塩田で
つくるのだが、このじいちゃんにかなう味はない。二月の味噌も、今月の梅干しも、このじいちゃんの塩で
仕込む。「一味」というより、まったく異次元の塩。蒸し暑い日ではあったばってん、じいちゃんが汗ダクになって
「ようきた」いって、笑っていた。「あごしこんどるけど、見るや?」というので、「ぜひ」という返事をして、
納屋に連れていってもろうた。夏の暑い最中、あごがきたら、それを釣り、さばいて、金串にさし、七輪よりふたまわり
大きな珠洲の珪藻土のものをつかって、遠赤でアゴを焼いているのだ。
こちらも、汗だくになりながら、昨日まで目の前で泳いでいたアゴが、焼きあごになっていく様子を見学。
塩の作り方と同じく、「手間を手間と思っていない」時間間隔に驚愕、まさに、アゴが落ちるごた感じ。

その後に、能登町まで足を延ばし、「津久司鮨」へ。先月から、「津本式血抜き&神経締め」という、今のレベルでは
一番手間がかかるけど、魚の日持ちレベルが宇宙的な方法でやっている味を確かめにいった。
1時過ぎやったけど、満席だ。主人が「週末は50人くらいくるようになった。」とのこと。
少しまって、カウンターに座り、大盛750円(普通が550円 算数ができないの?とよく聞かれるらしい)を食べる。
「金沢からわざわざきた」というカップルが二組いた。超繁盛店になってきた。離婚祝いにあげた備前の長皿が
大活躍している。おまけに「鯵」を三種。本日、昨日、3日前。「津本・・・式」でやると、鯵の味の変化が著しい・・
この説明は筆舌が及ばないが、ぜひ一度「津久志・・」にいって確かめてほしい。熟成の鮨は土曜日のみ・・
アメックスカードといっしょ?(昔、ジャックニクラスが宣伝で、ドヨノミ(知ってますか?、と宣伝していた)

今日はこれから、梅茶翁で梅仕事。今にも降ってきそうな天気になってきた。