十牛図 ぱあと2

昨日は東京も30度を超した。夏も近づく・・どころか、真っ只中のような暑さ。
能登の神子原村(みこはらむら)の蕎麦茶を沸かし、冷蔵庫で冷やした。一気呵成に飲む。

水曜日に、能登の家にもっていく茶箱のものを整理していたら、青山禮三と共箱に揮毫された急須
がでてきた。茶箱の隅には、作品集があり、青山翁が古希(70歳)の記念の時に新宿伊勢丹で
やった陶展の時のものだ。平成2年と記せられてあるので、30年前のことだ。

推薦の言葉を、虎渓山永保寺住職だった中村文峰和尚が書いている。十牛図の本を書いた和尚だ。

推薦の言葉

古希を迎えた青山禮三氏が聞いた。
「禅録の中に土に関する禅問答がありますか」と。
「あります。木平善道禅師は新しい修行僧が来ると、相見する前に土を三度運ばしたという話頭(わとう)が
禅書に載っています」

青山陶匠は無言であった。
青山陶匠は三度ならず数度東京に土を運んで東京の人々に作品を展覧して木平禅師の話頭に答えようとしている。
透得とすべきであろうか。
泥過とすべきであろうか。
木平禅師に代わっていう。
「東山水上行」(とうざんすいじょうこう)

急須を出して、福岡からおくってきた星野村の新茶を久保さんの斑唐津の茶碗についだ。
床の間に飾った猿田彦の掛け軸を眺めながら、禅問答を読み解く・・・東山(ひがしやま)が水辺(賀茂川)を歩行す・・???
凡夫の頭には、微風ひとつ吹く様子もないが、のどもとを嚥下した茶にかすかな清風の味がした。感謝。