いろいろ茶れんじ

昨日の朝、いつものように香取神社にお参りをする。
もと「NUSUMIGUI」(今はまーくんの、アクセサリーの工房)があった方の出口のところに、小さな社がある。
どうも、ときどき、こっちの方から声が聞こえるような時がある。

昨日ははっきり声が聞こえて、すぐに久保さんに電話して「〇〇のようなもんつくってください」
と、アレコレ新しい時代の「茶」に関する道具を一方的に話をした。「茶れんじの月」である。「勾玉」もそんな風にしてできて、スカーレット(炎色)、
織部、宗像青(勝手に命名)、白の4種類ができた。正確にいうと、緑は二種類できていて、もうひとつ
にチャレンジしているようだ。いま時の若い陶芸家の大半は、流通されている土を使い、その土にあう釉薬(これも流通しているもの)
を使う。だから全国津々浦々の土地の陶芸家さんたちは、同じような風合いの「金太郎飴オリベ」をつくる。
大半がガスの窯で。久保さんは、自分で土を掘り、釉薬もその土土にあわせて、いろいろな実験をしながら穴窯(薪を使う)
で焼く。温度も違うけど、できあがるモノのパワーが、まったく違う。「勾玉」になって、わかるひとには
瞬間的にわかるみたいで、無駄のない縁でつながった人たちに毎日のように嫁いでいる。

釉薬には、素敵な物語が秘められているのだけど、「情熱大陸」までおあずけ・・

昨日は天気もよく千客万来で、朝元気に打ったそばが3時前になくなった。そんな状態を「炊いた落な男」と洒落た。釜の中が「湯だけ(言うだけ で何もやらない)」
そんなタイミングで、とある女性が、入ってこられた。黒いメガネをかけ、マスクをかけ、紺のセーターをきている。「カウンターにどうぞ」
というと、マスクとメガネをとり「わからなかったでしょ~」と笑う。国貞雅子だ。「銀行強盗のリハーサルか?」というとまた笑う。
昨年ジャズ界の巨匠デイブグルーシンといっしょにツアーをする幸運の女神が微笑み、一気にステージがかわってきた。10年以上
天真庵のライブを年二回ペースでやってくれる。来月も。

同じタイミングで煎茶のお弟子様が入ってきた。「さつき鳩」という号を持つ歌人でもある。五月に口に
こもるように「ポーッロー」(本人がやるとホンモノの鳩のように鳴く)と鳴く鳩が昔から好きらしい。
最近できた歌を、ぼくの大学ノートに書いてくれた。そのノートの表紙に、きたない文字で一句。ぼくが落書きした句にビットがたつ。

欲深き人の心と降る雪は
 積るにつれて 道を失う

「いい詩ですね」とさつき鳩さんがうなる。「江戸の三舟の デイシュウや」というと、どんな字ですか?
と聞くので「泥の舟書いて、デイシュウ」と教えたら、「ぼくも泥鳩にしようかな」といって笑う。
「泥水の中で、羽をばたばたして飛べない鳩・・・なんかぴったりやな。きみにさつきはきれいすぎやね」と笑う。
才能のある人たちも、新しい時代を迎え、泥舟や泥鳩のように、煩悶している。
でもそんな中から、抜け出した人たちが、きっと新しい時代をつくっていくのだろうと思う。

「文化の日」  文人たちを祝う日。陶芸家・書家・芸術家   思いを「文」や歌などの作品にして届け、
「化」学反応をおこす。「ゆとり」のない昨今に、ほんとうは一番大切なものではなかろうか。