新米 新栗 ハーモニカ

能登から運んできた「棚田の新米」と「新栗でつくった焼き栗棒」が好評だ。里山里海が中心の能登半島は平野が狭く
昔から「棚田」で米をつくってきた。能登の家のすぐ近くにも棚田百選に選ばれた
「大笹浪棚田」というところがあり、東京や金沢から車でくる人たちの「ナビの目標地点」
にしてもろうている。駐車場から20段ほど階段をのぼると、棚田・里山・里海にサンドイッチされた
気分になり、ここでお茶をすると「白雲は幽石を抱く」(天地自然と一体になった境地)とうたった
「寒山」の気持ちになれる。最寄りの駅からも車で一時間。鳥にでもならないと、自分ひとりの力では
これない。そこも「寒山」が住んだところと似ていていい。

毎月能登にいく車の中では、NHKFMを聴いて走る。「親不知海岸」あたりは、26個のトンネルが続き、
ラジオが入らないので、大石さんや成川さんらのCDを聴きながら走る。先月は「スタンゲッツ」を聴きながら走った。
今月はトゥーツ・シールマンスのハーモニカを聴きながら走った。夏から秋にかわるこの季節は、やり残したことと
やりたいことの真ん中で、少しイライラしたり、気持ちが落ち着かないことが多い。今年はとりわけ、
「夏」と「秋」がいったりきたりの感があるのでなおさら時空が定まらない。そんな時は、トゥーツ・シールマンスのハーモニカが役に立つ。

毎日、お店を開ける時は成川さんのギターのCDをかけることが多い。☂の日はクラシックになることが多い。
昨日はめずらしく、そのトゥーツ・シールマンスを聴いていたら、珈琲のお弟子様がそばを手繰りにこられた。
新しい仕事を立ち上げたらしい。珈琲のお弟子様で「珈琲や」を始めた人は、ふたりしかいなく、みんないろんな
分野に旅立つことが多い。

いろいろ新しい道の四方山話をして、帰られるとき「オールド・フレンド」がかかった。
トゥーツ・シールマンスがライブのアンコールの時によく演奏した曲だ。
竹馬の友のように古いつきあいとでもなく、家族のように血縁とかではないのに、道がつながっている人は
みな「魂のオールドフレンドや」と思う。

閉店まじかに、梅林ガールズのメンバーが「ほぼブラジル」を飲みに立ちよってくれた。
お店や人生を閉店する時にも「オールド・フレンド」はいいと思った。
「ハーモニカの詩人」といわれ、世界中の人に愛された。