東京を出発する朝、散歩していると、ガラス職人のTにあった。
どちらともなく「ちわっす」と挨拶。テレビは見ないので知らないけど、
「福山雅治がテレビでやっているお茶の宣伝で使っているガラスの急須は、おれが作った」
が自慢で、しばらく忙しくしていた。
夏の玉露を淹れるガラスの急須は、彼に作ってもらった。茶こしまで、ガラスでつくるのは
難しいのだが、涼しい顔して、要望どおりに作ってくれた。
水出し珈琲のガラスの器具も、15年くらい前に彼につくってもらった。お店にふたつ置いてある。
「すりし」という、コックの仕上げをやってくれるおじいちゃんの技もさえて、今も現役で、夏の水出し珈琲を
楽しませてくれている。最近は、久保さんの「縄文ドリポット」を、自作の「和っち珈琲器具」でいれることも多い。
能登の家では、居間に置いてあって、毎日かかさず、水出し珈琲を淹れる。UFOで、「ほぼぶらじる」をイチハゼさせ、深煎りにするのがコツ。
昨日の夕方、そのTから電話。「社長・・・・」
彼が「社長」から始まる時は、営業モードの時・・・・・
すこしめんどくさそうに「はい。なにかあった?」と応答。
「あのガラスの急須の特許がとれたよ。お店に少し置いて、売ってみたらどう?」
やっぱり営業だ。
「いっぱい売れて、忙しいんじゃないの?」と聞くと「落ち着いてきた」とのこと。
「買わないと思うけど、月末に一度アトリエに見にいくわ」と言って電話を切った。
5年おきくらいに、彼には「なにか」を頼む。隣の喫茶店の常連で、うちにはこないけど(笑)、
そろそろ5年たつので、「なにか」を作ってもらおうか?人生は、なんとなく、そんなスパイラルな「くりかえし事」
が起きる。
・・・など、考えながら、三輪福さんがもってきてくれた「田芹」をアテに、ビールを飲んだ。
グラスは「へちかんだグラス」、安土忠久さん作。水出し珈琲のサーバーにしているものもそうだ。
天然の田芹は香りが命なので、丁寧に洗って、手でちぎって、同じく安土さんのサラダボールに入れる。
その上に、タコとか、なまこを入れ、かえしに酢を加えてドレッシングにする。
タコもなまこも前日食べてしまったので、昨日は「のり」をちぎってのせた。
前の海でとれたのりを、近所の「海女さん」が干して作ったもの。海の香りが食卓に香る。
田芹の茎の部分は、鶏の砂肝といっしょに、ごま油でいためた。酒がとまらなくなる。
洒落ではないばってん、気がつけば、石川セリの唄が鼻歌に・・・
♪ダンスは、うまく踊れない・・・・
でも、酒もアテもうまく、体が上機嫌に揺れていた!宇宙のダンスかもなんばん?感謝。