卯の花

そろそろ、あちこちで白くて可憐な「卯の花」が咲き始める。
京都では、晦日の日に、「きらず」(おからのこと・・・包丁で切らずに食べれる)を
食べる。来月もお客さんとの縁が切れませんように、という縁起。
四十雀、という鳥も「始終空っぽ」みたいで、なんとなく貧乏神が憑りついているような名前なので、
あまり家で飼われなかった。同じように「おから」も「お空」を連想させるので、商家では、「卯の花」とか「きらず」
と呼ばれてきた。

天真庵のショールームに、犬の焼き物が飾ってある。陶芸家の渡辺愛子さんが作ったもの。
17年前の天真庵押上のオープニングパーティーの時は、大阪生まれの彼女が「タコ焼き」を
カウンターで焼いてくれた。今では、銀座の黒田陶苑さんや、ヨーロッパで陶展をするような、えらい陶芸家にならはった。
2011年の311の大地震で、彼女がつくった筒型の掛け花が、壁とぶつかって、半分に割れた。
昨年の正月、能登が揺れた。震度7の志賀町の我が家の床の間には、渡辺愛子さんの「うずくまる」(信楽の壷)を
飾ってあった。ころがって床の間から、畳に場所をかえていたけど、割れなかった。さすがだ。

昨日、志賀町の町営の温泉「増穂の湯」にいき、その足で「Aコープ」というスーパーに買い出しにいく。
レジの横の本屋をのぞいたら、「和楽」が売っていた。「国宝」が新しい号の特集。
なんとなく気になって、買って帰る。

志野の銘椀に〈卯花墻(うのはながき)〉というのがある。
「この茶わんが好きです」みたいな感じの記事があって、そこに渡辺愛子さんの写真がのってあった。
今日明日と来客があるので、床の間の「うずくまる」の横に「和楽」を置いておこう。
たとえ床の間がなくても、気にいった花器がひとつあると、「和を楽しめる空間」ができる。感謝。