能登の家のコンポストトイレのところに、蠅取り紙をつるしている。
夏場に大活躍する。電気を使うわけでもないし、殺虫剤みたいに、
薬をつかわないのもいい。蚊やハエをシューで瞬時で殺すあの薬は、
人にだけは、効かないの?と疑問に思う。雑草の除草剤も、遺伝子を組み換えした種
から育つ植物だけは、除草の薬が効かないようになっている。これって、天地自然の理に
かなっているのかな?
岡山出身の芥川賞作家の小川洋子さんの「博士の本棚」(新潮社)というエッセー集がある。
その中に、「蠅取り紙、私が最後を看取った蠅たち」というエッセーがある。
それによると、岡山では蠅のことをハイというらしく、地元では「ハイトリ紙」と呼んでいたらしい。
そして、日本でほとんど唯一の蠅取り紙メーカーが、岡山の倉敷に本社があり、創業大正12年の
「カモ井加工紙株式会社」という社名らしい。
読んですぐに、トイレの蠅取り紙を見に行ったら、ビンゴだった。
さすがに、芥川賞をとる作家だけあって、蠅取り紙につかまって、蠅がつまって、成仏するまでの観察眼が
おもしろい。彼女のエッセーには、よく「犬」もでてくるのだが、犬の翻訳機をもっている?ような文章も
おもしろい。
そういえば、蠅がまだつかまって元気な時は、前足(手?)を、こするような所作をする。
「なみあみだぶつ」と拝んでいるのかもしれない?
猿を除去する漁師さんの話で、「さるに向けて鉄砲をかめると、手をこするような所作をすることがある。
拝んでいるようで、殺生なことやな、と思う」というような流れだった。
今は世界中で、人が人を殺しあっている。人もそれぞれ、「平和になりますように」と、神仏に手を
あわせ拝んだりしているけど、「縄文時代の一万年」以外は、戦争が絶えない。
親鸞さんが「草木国土悉皆成仏」を唱えてずいぶんたつけど、今こそそんな「哲」を
かみしめるような時代がきたかもなんばん。感謝。