池袋モンパルナス

昨日、パリで大規模なテロがあった。モンパルナス駅の近くにいた記者の
記事が今朝の朝刊にのっていた。ひさしぶりに芸術の街の名前を聞いた。
池袋にもモンパルナスがあった。貧乏な芸術家たちのアトリエがいっぱいあったなごりで、
昭和と平成のはじめころは、アトリエの跡や額屋などがけっこうあった。

天真庵の二階には、川上澄生さんの版画が一枚飾ってある。着物美人が、優雅にカフェにいるような構図だ。
昭和か平成か忘れたけど、池袋のうらぶれた骨董屋に、壊れかけた額縁に入って飾ってあった。
「これは、ホンモノやで」と主人が言った。彼の版画が売れるようになったら、家族が残った版木をつかって
量産したものが市場にでまわった、ということらしい。生前、まだ売れない時代に、自分で擦ったモノが
いい、という話だった。芸術とは、「その人」がでるもんだから、そうなんだろう、とそのころは、わかった
ようなわからないようなことを思った。

先月、久しぶりに九州に帰省した。小倉の駅前に泊まり、いきつけの古本屋を覗いたら、川上澄男の「ゑげれすいろは人物」
という版画本があったので、小倉を飲み歩いた後、ホテルで読んだ。ゑげれす好き、カフェ好きにはたまらない本だ。
19歳の時、小倉から新幹線で京都にいき、6年住んで東京に移住した。それから東京で40年くらい生きている。
その中で、「池袋モンパルナス」に住んだ20年が、自分の精神的な土台になったようにも思う。
最近は、芸術のにおいや、猥雑さが薄れて、ちょっと残念ではあるが・・・

池袋モンパルナスに夜が来た
学生、無頼漢、芸術家が街に
出る
彼女のために、神経をつかへ
あまり太くもなく、細くもない
ありあはせの神経を――。

小熊秀雄「池袋モンパルナス」

今日は「墨田川花火大会」

なにも関係ないけど、今日明日は12時から16時営業。それから「UF0焙煎塾」「そば打ち教室」
明後日、月曜の朝は「玉子かけごはん」(8-10)