能登の春 千里鶯ないて・・・

今日も晴天だ。集落のおばちゃんたちは、和布(わかめ)を、長方形の長い笊に干している。
能登の春の風物詩だ。海女さんの文化は16世紀に宗像の鐘崎の海女さんが能登まで出稼ぎにきて伝えられた。
関門海峡の門司側に「布刈神社」(めかりじんじゃ)というのがある。潮の満ち引きを司る神さま「瀬織津姫(せおりつひめ)」を祀っている。そこから「導き(みちびき)の神様」になった。旧正月の朝には、神職さんが、新芽のワカメを刈る神事で有名。
春の海女さんたちのワカメ作務の所作を見ていると、いつもそんな故郷の神事を思い出す。

我が家は、ワカメではなく、毎日濡れた畳を干している(笑)
お天道様の力を感じる日々でもある。
二階の畳は、全部廃棄することにした。朝いちばんにする仕事は、二階の5部屋(全部和室)の窓を全部開けっ放しにする。
一階は六部屋ある。台所以外は和室。
ほとんど二階を使うことはなかったけど、窓を開けると、山桜の咲く里山が眺望でき、鶯やホオジロたちの春を告げる囀(さえずり)
が響き渡る。災難にあって、あらためて、大自然の恩恵みたいなものを感じる。起こることは、みな意味がある。「それからどうする」
を楽しみながら生きていくのが一番。

二階の階段のところに、掛け軸がかかっている。世田谷のお茶の先生にいただいたものだ。
杜牧(とぼく)の「江南の春」が揮毫してある。原文は、ちょっと難しそうに見えるばってん、一度読めたら
一生読める。朝日を浴びながら、この詩を朗々と読んでいると、「杜牧」ではなく「ぼく」が詠んだの?みたいな錯覚を覚える。
これも老化現象かな?感謝。

千里鶯啼緑映紅

水村山郭酒旗風

南朝四百八十寺

多少楼台煙雨中

日本語に訳すと、

千里鶯啼いて緑みどり紅くれなゐに映ず

水村山さん郭かく酒旗しゅきの風

南朝なんちょう四百八十寺しひゃくはっしんじ

多少の楼台ろうだい煙雨えんうの中

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