輪島の「酒ブティックおくだ」

能登の家から、毎月輪島を通って、珠洲にいくのが日課というか月課だった。
輪島に輪島塗会館なるものがあり、そこから朝市があるところに渡る橋の手前に
「酒ブティクおくだ」という酒屋がある。午前中からやっているので、つい立ち寄って、
能登の地酒を調達するのがならわしになった。
お店は若夫婦(三代目)で経営していて、昨年は念願の嫡男が産まれた。
ぼくの顔を見ると、得も言われぬ笑顔を見せてくれる。「15になったら、いっしょに飲もうね」
といっているようだ。(九州はそのあたりで飲むのが普通だけど、能登は18歳?」

昨日のれんをだして、しばらくしたら、日焼けしたにいちゃんがそばを手繰りにこられた。
「花巻とUFOください」という。花巻とは、江戸そばの定番で、あったかいそばに、江戸前ののりを散らせたものだ。
東京湾でのりがとれなくなってからは、有明海産を使うようになり、それもあやうくなったので、そばやのメニュー
からは消えた幻のメニューだ。能登に住むようになって、春をまつ今頃の季節に、おばあちゃんが岩に座り込んで
岩ノリを獲っている姿に感動して、一昨年メニューに入れた。器は能登の「合鹿碗」(ごうろくわん)。
一客5万円くらいするけど、「ままよ きんたま おとこのこ」と、いつも骨董品や調度品を買う時に
唱える呪文を発生し、5客買った(笑)昨年「ところさん おとどけもの」で紹介されてからこっち、天真庵の
人気メニューになった。それを食べに、北九州から友達ノージが、わざわざ食べにきてくれたり・・・

UFOとは、能登の地酒の「遊穂」。UFOで町おこしに成功した羽咋(はくい)にある酒蔵のお酒。
その黒い顔したにいちゃんに「しぶい組み合わせですね・・・?」といったら、
「こないだまで、二週間能登の輪島に救援活動にいってました。その時、オクダさんと出会い、
『スカイツリーの近くに、能登の食材をつかったそばや、UFOなどの地酒をだす天真庵というのがありますよ』
と聞いたのできました」とのこと。
こんなご縁がまわりまわって、いろんな出会いや物語がうまれるんやな・・と感動した。

今回は、自宅の片づけにおわれ、輪島やブテイックおくだにいけなかったけど、
出産祝いの能登焼きの酒器を能登の家まで運んだ。
今回の甚大な被害の中心の珠洲に「丸和工業」という珪藻土七輪やさんがある。一昨年、昨年と震度6の地震で窯が壊れた。
その時、片づけを手伝っていたら、ちゃねって「珪藻土で焙煎・・・UFO焙煎器」ができた。
その珪藻土を使って、久保さんが桃山陶の「黄瀬戸」(キセト or キゼト」を作り始めた。
織部(オリベ)、志野(シノ)、黄瀬戸、が「桃山陶の御三家」。
その中でも、黄瀬戸を上手に焼ける陶芸家は、もともと少ない。もう30年くらい前になるけど、銀座で陶展を
やっていた久保さんの黄瀬戸のドラ鉢を見て感動したところから、ずっとつきあいが始まり、最近は、UFOや能登ジェラトン(隕石粉セラミック)まで、作ってもらっている。今回の「能登焼きの黄瀬戸」のぐのみで、ぬる燗を飲むと、酒が燗あがりして、
よりべっぴん酒になる。

昨日は、ソフトンバンク時代の同僚で、ソフトバンクモバイルの社長までやった後藤くんの奥方がそばを手繰りに
こられたので、一個渡して、仏壇に供えてくれるように頼んだ。一昨年、還暦を前に召された酒飲み友達でもある。

今日は12時から16時。その後は「そば打ち教室」と「焙煎塾」と「ゆるゆるヨガ」
明日の朝は「玉子かけごはん」

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