今日は「井伏鱒二」先生みたいな一日だった。
朝、二階の寝室の畳をはがしていると、雨漏りが黒くなっている。
「志賀町に原発があるから?」なんて書くと、鳩山元総理みたいなことになるけど、
今回震度7の地震があったこの町に、原発があるというのは、自民党の裏金問題よりも、
もっと深刻な問題だと思う。井伏鱒二先生の「黒い雨」(新潮)は、ぜひ日本の今後を
まじめに憂いてる人には読んでいただきたい。
寝室の文机の上には、端渓(たんけい)の硯と、墨が置いてあった。どちらも、骨董好きには
たまらない珍品だけど、そいつが雨漏りの水と反応して、「黒い雨」を降らせていたようだ。
そんな、ひとりごとのような繰り言を、うわごとのようにしていると、知り合いから「スゴイ茶わんを手に入れました」
とメール。彼はいつも、ビットがたつと「スゴイを乱発する」(笑)
徒然草にも、「茶人くさき人」が、変人の極みみたくでてくるけど、令和の時代になっても、「くさき」
は、匂い立つ。井伏鱒二先生の「珍品堂主人」を、明日にでもおくってあげようと思う。
骨董病と金欠病という病は、同時に罹病することが普通だ。(ぼくも、自覚症状がある?)
今回の地震で、甚大な被害をうけ、家じゅうの畳がやられ、避難地みたいな我が家。
そんな中でも、毎日被害を免れた器に、季節の花を生け、茶をいれたり、珈琲を淹れたり・・・
今日も朝、徘徊散歩の時、鳥居も落ちた神社の脇の椿を一本拝借し、奇跡的に生きた備前の花器に投げ入れた。
「スゴイ茶わん」の男と同類だ。
上海や香港あたりでは、偽物かホンモノかわらないローレックスなどが、昔から売られている。圧倒的に
ニセモノの方が、マーケート規模が大きい。骨董の世界も、「名前」とかで買う人が多いので、贋作という
のが昔からはびこっている。だからまた、面白い世界だ。
今日は、一日休もう、と、二階の畳を二部屋分あげて、「野球場」に被災したゴミを捨てにいって、♨に・・
輪島の「じんのびの湯」は廃業、260円ではいれる町営の風呂も廃業?一時間かけて、道の駅「ころ柿の里」の♨にいく。
家に帰り、亀泉のぬる燗を飲んでいたら、煎茶の先輩から電話。
「なにも手伝うことができませんが、『方丈庵』みたいな生活をしているあなたたちは、大丈夫だと思います」
と、励まされた?骨董屋にカモにされるほど、バカじゃないし、鴨長明ほど清貧でもなし・・・
立って半畳、寝て一畳、どんなに飲んでも二合半・・・
70畳以上の畳をあげて、大丈夫な畳二畳ぶんの場所で、毎日2合の地酒を飲みながら、
「来し方行く末」を、呻吟する日々。是好日に感謝!
今日は、備前徳利と斑唐津のぐい呑みで飲んだ。井伏鱒二先生がこの組み合わせが、左党(酒飲み)の最高峰だといった。
そんなブログを書いていあたら、金沢の木工の匠、「般若くん」から、見舞いの電話。
いろいろ「距離感」が難しい時代に、笑いながら談論風発できる「友」がいることは、幸せなことだと思う。
居間の茶箪笥は、彼の卒業時の作品。光陰矢の如しで、彼も50を超えた。落ち着いたら、金沢でいっしょに
飲みたいもんだ。感謝。