今日は旧正月。
毎日、中前さんが活躍している。味噌つくり。ほとんどの人が、正月の地震で被災して亡くなった中前さんの塩を
つかって点前味噌をつくる。お店で売っていた彼の塩は完売。厨房の中に、調理用に
あと少しだけ残っているだけ。
中前賢一さん。享年78歳。映画『ひとにぎりの塩』に「おいしいものはおいしい」
と、でてこられる。YouTubeの予告編観でも観れる。
昨日の夕方、そばのお弟子様が3人で蕎麦を手繰りにきた。
夕方くると、いつも「文膳」という、昼酒そばセットを所望される。
まずそば豆腐。豆乳に筑前葛をつかってつくる。少し能登塩を入れるのがポイント。
それに、柚子胡椒とかえしをかけて食べてもらう。
柚子胡椒も中前さんの塩だし、かえしにも隠し味に塩をきかせてある。塩梅というより、彼の
塩がないと、あかんばい。
お酒は、燗酒用の「遊穂」(UFO)。能登の地酒だ。昨日は久保さんの黄瀬戸の片口に、
中前さん作の「焼きあご」を入れて、アゴ酒にして供した。
三種盛りは、冬は「おでん三種盛り」にしている。(今年から)
新潟の車麩、豆源郷と豆腐、こんにゃくの上に刻み葱をかけ・・・を志野皿にのせ、練りからしで
食べてもらう。おでんの出汁は、こんぶと能登の椎茸、能登塩、かえし、酒でつくる。
今年になってまだ能登にもどれていないので、富来の「はしもと食堂」のおでんをイメージして、急遽メニュー
に加えた。純喫茶のメニューに「おでん」がある店は、あまりないだろう、と、笑いながら黒板に書いたら
ことのほか好評だ(笑)ついでに「牛すじの煮込み」(能登の居酒屋にいくとたいがいある)もメニューに
加えようかしらん?能登の牛すじの煮込みはどこのお店も塩で味付けをする。お澄ましの中に、牛すじが
♨に入っているようなやさしい風情の味がする。
〆のそばも、中前さんの塩で食べてもらった。慈悲深いというか、「土を喰らう」気分になる。
こんな体にもこころにもやさしい塩が、以前政府が「専売公社」をつくったせいで、絶滅しかけたことがある。
日本人はそのおかげで、塩化ナトリウムを「塩」だと洗脳され、長いことケミカルな塩を食べてきた。
そのおかげで、成人病が増え、こんどは「減塩」といういいかげんなメッセージで、また洗脳している。
いい塩は、「減塩」ではなく、毎日適量に食べているほうが、元気になる。自分たちの「命」が海でつくられてきた
ことを思うと、誰でも理解できる。
今年も100人を少し超える人が「味噌つくり」に参加された。「百匹目の猿現象」で、まっとうなコトが優美に広がって
いきますように。。。。感謝。