じいちゃんばあちゃんの原宿

先々週は、渋谷にいって、あまりにも若者が無表情で闊歩する町にびっくりした。
道元坂や宮益坂はもとより、駅前がすっかりかわっている。
織田流煎茶道の教室が、表参道にあるので、押上から表参道の往復は日常茶飯だったけど、
ひとつ先の渋谷が、こんなに変わってしまったとは、さながら浦島太郎になった気分。
押上もスカイツリーができてから、少しオーバーツーリング状態だけど。

先週、少しアーティスティックな人が、上から下まで緑の服着て、自転車でお店の前を
何度か往復していた。映画の寅さんが、柴又の家に帰ってきて、入ろうかどうか
うろうろしているような感じ。やっぱり、うちは「入りにくい店」なのだろう。
ぼくだったら、絶対に入らない(笑)

勇気をふりしぼって?男の人が入ってきたので、窓際の席に座ってもろうた。
「おすすめは?」と静かにいうので、「そばとほぼぶらじるセットです」と答えると、
緑の帽子をとって、「それお願いします」とのこと。

そばを手繰り、珈琲を3杯おかわりしながら、談論風発。
簡単に自己紹介されたけど、感嘆した。向島で生まれ、家は町工場みたいな仕事をしていたけど、
叔父さんが、ちゃねって、不思議なものをつくり、会社が上場し、その叔父さんは60で仕事をやめ、
巣鴨に大きな屋敷をたてて隠居。彼のうちもその敷地内にあったらしい。
その故・叔父さんは、それから、陶芸家や木工など「ものつくり」の人たちを応援するサロンみたいなことを
やっていて、お客さんに自家焙煎の珈琲を、お茶のようにふるまっていたそうだ。
「その叔父の珈琲と同じ味がします」とお褒めの言葉をちょうだいした。

緑の男の人は、少し体が悪そうだったので、帰りに「能登の霊水」をペットボトルに入れて、
「これは能登の藤瀬霊水という不思議な水です。」といって手渡たした。
そうしたら、火曜日に元気な顔して再来店し、「あの水は、ほんとうにいい水ですね」といって、
「元気になったお礼」といって、自作のクルミパンをくれた。
仕事が終わって、そのパンを焼き、バターをつけて食べた。あまりのおいしさに、「能登ワイン」
をあけ、パンを酒肴にワインを飲んでいたら、犬歯がポロリとかけた。
すぐに、板橋の歯医者に電話をした。「明日2時半にきてください」とのこと。
2時に、その歯医者を紹介したピアニストのみえさんのコンサートがある。でも犬歯がぬけたまま
コンサートも無粋なので、歯医者を優先させてもらった。

歯医者は、半蔵門線神保町乗り換えで、都営三田線の巣鴨で降り、「おじいちゃんおばあちゃんの原宿」
を通りぬけて、滝野川にでる道で通っている。「巣鴨」の話からクルミパンが到来し、そのパンを
食べて、巣鴨にくる。どこか輪廻転生みたいだ。
20年くらい住んでいた町なので、池袋、巣鴨、大塚、
どこからでも目をつむっていても、大酒くらって酩酊しても、歩いてきた町だ。
ちょっと無理を聞いてもらったお礼に、地蔵通り名物の「塩大福」を8個買って歯医者にいった。
この通りも「マルジの赤パン」とか「巣鴨酵素風呂」とか、個人でやっている八百屋や魚屋は、まだかろうじて
存在しているけど、どの街とも同じような「大資本」の浸食がめまぐるしい商店街に変貌してしまった。
でも塩大福が一個130円、というのは、どこか昔のままな感じでうれしかった。
そして、ぼくも67になり「いつかいく道」の「いつか」を削除しても平気で歩ける道になった。感謝。

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