押上ゴールデン梯子

水曜日は、ひさしぶりに「なにもない一日」だった。
「中西くん」に電話して「UFO珈琲を飲みにこない」
と誘った。天真庵を改装してくれた親方?。出会ったころは、芸大の建築を
卒業したてのやんちゃだったけど、もう50を超え、いいおっさんになった。
炭火を囲炉裏(最近手にいれた青銅のやつ)におこし、能登の霊水を
薬缶にいれ、五徳にのせる。蘇東坡の心境だ。

UFOの最新版・・・250g焙煎できる「新型UFO」で、モカを焙煎。
ひとつ課題のある、豆の入口が焙煎の途中に出口になって、熱い豆が
そこからでる、という問題も「針金」を上手に工夫することによって解決。
15分もすれば、モカのシティーローストができあがる。
しかも、豆を入れるドラムが能登の珪藻土でつくられているので、遠赤効果、輻射熱効果
がハンパなく、カリッとした珈琲豆ができる。充分、「プロ」でも通用するすぐれもの。
カフェやレストランなどをやっている人も、「今日から自家焙煎」の看板をうちたてられる。
「能登で始める3日坊主の焙煎塾」に入門すると、3日後に「焙煎士」になれる。
天気がよければ、「タコ釣り指南」も同時にできる。

中西くんと3杯づつ珈琲を飲みながら談論風発。彼は天真庵を改装するまで、谷中に住んでいた。
そして、天真庵を改装途中に、「うちの物件も改装して・・」という話がきて、「ぶんかん」
や、長屋を改装して、アトリエ、民泊、カフェなどをつぎつぎと手がけた。
珈琲は3杯が限度なので続いて「珈琲韻」(カフェイン)を飲む。UFOで少し深めに焙煎したモカを
「キンミヤ」につけこんでつくる。
3杯くらい飲んだら、お互いにいい気持ちになった。「昼飯喰いにいこう」
となり、千鳥足で「きらきら橘通り」を歩く。17年前にふたりで、「この街をこんな風にしよう」
と夢を語りながら歩いた道だ。

お寿司屋を改装して「うどんや」(1000REN・・センレンというお店)を
はじめた店があるらしいのでそこを目指した。製麺機は、廃業したそばやでもらった、らしい。
「ナポリタン ハンバーグ オムライス・・が好き」という大人が多く、寿司屋や蕎麦屋が、苦戦している。
上のみっつは、小さくして並べると、まんま「お子様ランチ」になる。つまりみんな「子供のまんま?」

その店に入ろうとすると、おかまのMくんがチャリンコで通りかかった。「いっしょにうどん食べようか?」
と誘ったら、「さっきほかのお店で食べたわよ。何よふたりとも昼まから酔っ払って・・・」
「ま、いい・・ビールでも飲めや」というと「私が下戸なの知ってるでしょ。」と笑う。
そのまま、無理やりお店に連れていて、Mくんをサンドイッチして、カウンターの端に座って、
うどんとビールを飲む。なかなかいい感じだ。明治通りにある「おでんや」と同じ経営者らしい。
そのおでんやは、中西くんが改装したものだ。Mくんは、マンゴジュースを飲みながらテンションをあげて、
カウンターの中の若い女将に「カラオケないの?」とかバカなこといってる。
マンゴジュースを飲むながら、十八番(おはこ)の恋は赤いバラを歌うと、「デキン」になる。

♪二人でマンボ抱かれてマンボ 燃やしてマンボ今宵こそ 結ばれて二人でマンボ
*ここのオチで必ず、マンボの「ボ」を「コ」に変えて歌うバカがいる。

3人で5000円の勘定を払い、お開きにしようと思ったら、おかまのMくんが、
「もちこみや」という昼間からやっているお店の前で「一度このお店にいってみたいの。どう?」
というので、入る。5人くらいの先客が、昼間から(人のこと言えないけど)飲んでいる。
「自分で調理したおつまみをもちこんでも」「近くのおそうざいや(そのお店の主人の奥方がやっている)からもちこんでも」OK牧場
というシステム。基本は「セルフ」なので、Mくんが、ぼくの財布をもって(笑)、いろいろ注文しにいき、トレイに
「飲物・つまみ・おしぼり」をもって、テーブルにもどってきた。そして、高級クラブのホステスよろしく、床にひざまずいて、
「どうぞ」とおしぼりを広げた。お店のよっぱらいたちが、大笑いする。彼だけが素面・・・大した役者でもある。

しばらくそこで飲んで、近くの珈琲屋でコーヒーを飲んでお開き。
天真庵・うどんや・もちこみや・喫茶店・・・・押上のゴールデン梯子パターン。

ぼくはそれから店に帰って、新型UFOで2度焙煎、その後、いつもの炭火焙煎を3回廻して焙煎。
そして、夕飯は押上駅前の「なおよし」という、居酒屋というより「小料理屋」みたいなお店まで徘徊散歩してUFOを飲む。
ここは、衣被(きぬかつぎ)みたいな、ちょっと気のきいた酒肴や、魚料理がうまくて、ときどきいくお店。
UFOというのは、能登の地酒「遊穂」。UFOで町おこしに成功した羽咋(はくい)の酒蔵。その後は、福井の地酒を燗にしてもらった。
こんなお店が近くにあるのも、うれしい。感謝。

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