東京から能登にくる時、小杉インターでおり、氷見の「すしのや」
にたちより、その後同じ国道に面した「明文堂」という本屋に立ち寄る。
店員さんおすすめの本が、手書きのPOPで紹介されている。
今回もそんな本を何冊か買った。そのひとつが「父の声」(小杉健治 文春文庫)。
高岡に生まれた女子が東京にいって、しゃぶずけになり、おやじが命をかけて娘を助ける、そんな
推理小説。泣かせるストリー。
昨日の昼、その本を読んでいたら、「とれた」といって、近所のひとが、あわびを5匹くれた。
焙煎をする日だと、そのまま網焼きにするのだが、昨日は猛暑で、そんな気分にならない。
冷蔵庫をのぞくと、バターがきれていた。そんな時は、東京だと徒歩1分で、アコレやファミマが
あるばってん、こちらでは「能登の百貨店」みたいな中根酒店まで歩くしかない。
手提げ袋と、首にタオルを巻いて徒歩片道20分の百貨店をめざした。
つくと、凛とした佇まいのばあちゃんがジュースなどを買っていた。見知らぬ人だけど、こちらは顔がわれている。
百貨店、郵便局、その先の赤崎のTOGISOまで、歩いているぼくは「変人」として認知症の人たちにも認知
されているみたいだ。
「あんた、この暑い中、マエハマ(うちの集落を地元の人は、そげな風に呼ぶ)から歩いてきたん?」
と聞くので「はい」と返事した。「元気やね・・・何歳?」というので「31年さる年」と答えた。
「私よりひとまわり下やない。若いね。私がもう少し若かったら、これ見せてあげるのに・・」
といって、Tシャツの上からおっぱいをさわっている」。なんと答えていいかわからないけど、汗がどっと噴き出してきた。
バターと能登ワインを買って(正確にいうと、バターの賞味期限が切れかけていたのでタダでもらった。ので、ワインを
1650円で買った。)2000円を払うと、500円のおつりがきて、おまけに「飲みながらかえらなあかんよ」
といって、ポカリを一本もろうた。「能登はやさしや、おばちゃんまでも」だ。
そんなこんなで、昨日も、異次元な家呑みが実現した。
能登ワインの白は上品な味で、アワビにあった。
そのまま寝ると、百貨店であったおばちゃんの夢がでてきそうなので、「亀泉」を魔除けがわりにぐっと
飲んだ。おかげで、悪夢にうなされることなく、朝6時の「シャボン玉」(防災用のスピーカーから流れる)が
聞こえてくるまでぐっすり眠れた。感謝。