おでん 熱燗 昔の女(おとこ)

先日、錦糸町のトリフォニーホールで、知り合いのコンサートがあった。
その後、界隈で一杯やろうと、うちの常連さんが働いている駅前の「おでんや」(といっても、少し若者向きのカジュアルな店)
にいったら、満席で入れなかった。「きんぎょと風鈴」・・・確かそんな名前のお店。
コロナが第五種に引き下げられ、盛り場に活気がもどってきた。
でも、ほかのお店は、けっこうガラガラ模様。立ち飲みなど、安くて若者向けのお店は
戻ってきたが、おじさん以上の高齢者御用達のお店は苦戦が続いているようだ。

しかたないので、近くの知り合いの居酒屋に入る。最近「コの字カウンターのお店」
というのが流行っているらしい。そんな雑誌の特集や、本に必ずでるお店。
コロナ禍の時は、せっかくの「コの字のカウンター」も、アクリルの板に遮られ、
「おひとり」もしくは「おふたり」専用のスペースで飲むスタイルだったけど、そのアクリル
はなくなってすっきりしている。

少し華やかな香りがある「八仙」を頼んだら、ワイングラスとお猪口がでてきた。
飲み比べると、確かにワイングラスは、香りがたつ。のだけど、ぼくてきには、
「備前徳利に斑唐津のぐいのみ」を、貫いてきたので違和感があって、「燗」を所望した。銘柄は竹鶴。
カリッと焼いたパンにつけて食べるポテサラが、燗酒にあった。「コの字カウンター」「ポテサラ」「ワイングラス」
は、最近の居酒屋の三種の神器だろうか?押上村と能登の田舎を往復していると、「井の中の蛙(かわず)」の
ようなものだ。このお店の名前もそんな名前。天真庵が押上にきた時はもうあったので、17年くらいになる。名店だ。

先週新橋で飲んだ時にも感じたけど、やはり「おじさん以上」が盛り場から姿を消しているように思える。
前日の新聞によると、「居酒屋の景況 コロナ前の70%」とあった。
ビジネス街もなければ、若者も少ない地域の居酒屋さんは、もっと景気が悪いに違いない。
株価は、バブル期にもどる気配はあるけど(不思議やね)、物価高騰や、実質賃金は下降線を続けているので
みんな懐が厳しいのだと思う。
「じっと手を見る」ような毎日がしばらく続きそうだ。あ、爪を切らなくては・・・