ミニマムリズム

今日は、東京大空襲の日。
昭和20年の今日、東京下町がB29の空襲をうけて、10万人が亡くなった。
天真庵の建物は、その時に焼けて、すぐに立て替えた「福田組」の社屋。
築78年になる。16年前に床を張り替える時、空襲で焼けたビール瓶みたいなものが
でてきた。カウンターの中に小さな神棚をつくって、そこに平和を祈願する意味で鎮座させてある。
まさかもうそんな時代はこない、と思ったけど、風雲急を告げる、みたいな危うい時代を迎えている。

昨日もポカポカ天気だったので、東京に持って帰るちゃぶ台を広げて、縁側においた。
そこに久保さんの黄瀬戸の土瓶に茶葉を入れ、汲みだし茶わんで茶を飲んだ。
3畳か4畳半の畳の間に、ちゃぶ台と小さな茶箪笥。茶箪笥の中に、土瓶と汲みだし茶わん。
最近ミニマムリズムが大流行しているけど、何か足らない。昭和までの「暮らし」は、みな簡素だったけど、
「ゆたか」があふれていたように思う。ミニマムリズムとは似て非なる世界。

街のカフェも、そんな流れに同調して、♪壁に飾ったモナリザも、なければ花瓶もない、
まるでコンビニのイートインスペースか、フードコートみたいな空間が多くなってきた。
お店の前に「アコレ」というスーパーがある。アレコレ商品がそろっている、という意味らしいが、
お店に音楽も流れていないのは、びっくりした。お店には製氷機がないので、氷が100円で買えるのが
うれしいけど・・・

昨日の夕方で「伊藤ヨーカ堂グループが、大規模な店舗縮小に」というニュース。
母体になっている「セブンイレブン」も、その傘下におさまったデパートも、景気の低迷とか、
ネット通販が生活に浸透したりの影響で苦戦を強いられているらしい。

昨日の夜に雨が降った。囲炉裏の上に鉄瓶を置いて、そこに錫のチロリで亀泉を燗酒にして、
「コンビニ兄弟」の続編「コンビニ兄弟2」(町田そのこ 新潮文庫)を読んだ。
「テンダネス門司港 こがね村店」という九州にしかない小さなコンビニのイートインコーナーで
紡がれる暖かい物語。便利を追求して、飾りも音楽もない空間が全国を圧巻したり、大きなモールができて、
駅前の商店街がシャッター通りになったり、個人経営のお店やカフェが絶滅危惧種になって久しい。
でも、結局そこには一番大切な「ひと」がいないのである。田舎に帰る、旅をする・・結局そこにいる「ひと」に会いにいくことだ。
「居場所と出番」の中心には「人」がいてほしい。
こんど帰省する時は、門司港の「テンダネス門司港 こがね村店」にいって北九州男の象徴みたいなフェロモン店長にあって、
「焼きカレー」と「チャンラー」を食べたくなった。感謝。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です