昨年のお仕覆の忘年会。
一年かかりでつくった、「備前の燗つけ器」(これのお仕覆『袋』をつくって、どこでも燗酒を飲めるようにした)
を持ち寄って、能登の亀泉を人肌にして、おでんをつついた。
少し酩酊した時にとある女子が「来年能登にいきたい」とつぶやいた。
咄嗟に「来月がいいよ」(2月は味噌つくりで能登にはいけないし、3月からは「やることの やまんごとありて 日が暮れる」
ような能登暮らしなので、寒くて飛行機が飛ばない日もあるけど、どう?みたいな)と答えたのがきっかけで、次の日に
飛行機と宿の手配が完了。
そんな勢いで、「冬の能登堪能ツアー」になった。
「湖月館」にみんなで泊まって、冬の能登の味を堪能した。
ブリやその幼魚のふくらぎも、あぶらがのっていて美味い。
刺身の盛り合わせの中に、プチプチした小さな卵をまぶした刺身がでた。
「たらの子つけ」という能登の郷土料理。
晩年の白洲正子さんの本に、「冬の能登にタラの刺身を食べにいくのがならわしになっている」という
のを読んだことを思い出した。女将に、そんな話をしたら、「うちにも毎年、タラ鍋とたらの子つけを
食べにくるお客さんがいます」とのこと。
また女子のひとりが「私たちも毎年冬の能登へこよう」とつぶやく。
彼女たちは、「いいネほしさ」のつぶやきと違って、いつも「有言実行」になるのがいい。
冬の寒さや風の強さははんぱないけど、能登の旅は「冬」が一押しだ。宿は「湖月館」がいい。
いしるをつかった岩ノリの鍋・・・この世の食べ物とは思えない滋味。
ひとり旅でもOK牧場。美人の女将が酒の相手をしてくれる。
つぎの日は、旅館の近くの「おでんや」で酒を飲んだ。
先客の女性3人が、おでんを酒肴にビールを飲んでいたので、「とりあえず、ビールと刺身の盛り合わせ」
その中にも「タラの子つけ」が入ってある。75歳の女将は、ひとりでお店を切り盛りしていて、忙しく
包丁さばきをしながら、「これは、タラの刺身を昆布締めにして~(能登のイントネーション)、卵を袋からだして甘辛に
煮てまぶすんです」とのこと。鱈の子つけは、北国の粉雪のような衣がついたタラの刺身はプチプチ食感と昆布の旨みでしまった身のしっとりぷりぷり感が混然一体で、筆舌を超えている。燗酒徳利がどんどん空になる。白洲正子さんの気持ちがわかる。
飛行機で能登空港まで「あっという間」にいける。空港でレンタカーにのって「冬の能登路旅」。
「あっ」という間に終わる人生の一コマにいれてみたら如何?「おとなのひとり旅」の上級編だと思う。
天真庵のHPにリンクしているけど「湖月館」のHpをのぞくと、関西方面からのアクセスや、新幹線を
つかった方法などが書いてある。