♪まちぼうけ まちぼうけ ある日せっせと野良稼ぎ・・・

能登の家では、朝6時に防災用スピーカーから、目覚ましの音楽がなる。
夏は「さざえさん」、冬は「まちぼうけ」だ。作詞は北原白秋。
夏の6時は、もう明るくて、ぼくは「タコ釣り」があるので、自然に5時には起きて、
釣りの準備をしている。冬はまだ暗く、外ではふくろうがすだく時間帯で、釣りにもいけないので
布団の中で夏を待つように「まちぼうけ」を聴いている。なんとなく、この音楽がぴったりな風袋だ。

♪待ちぼうけ、待ちぼうけ
ある日せっせと、野良稼ぎ
そこに兔がとんで出て
ころりころげた 木の根っこ

昨日、「おかまのMくん」から電話があった。「今能登?東京?どっちなの?」
「能登ばい」と答えたら、「青春キップで九州にいってきたから、お土産もっていこうと思ったんだけど、
残念だわ」とのこと。
先日、梅茶翁の三輪福さんと、おでんをつまみながら、Mくんの噂話をしていた。
まことの不思議な話なのだが、梅茶翁の家には、梅林があった。東京から移住した最初の年には、「どうしよう」
ということで、天真庵に50kくらいおくられてきた。それを筆子さんが「梅干し」にしてから、
能登と東京を往復しながら「梅仕事」が始まった。それを予期したように、ある日Mくんが
一冊の本をもってきた。「100年の梅仕事」という本。梅茶翁も、その本を原点に、毎年梅の剪定や梅の収穫、
梅干し、シロップ、黒焼き・・・一年中、「やることの やまんごとありて 陽がくれる」の日々だし、
その縁でわれわれも、半分能登に暮らすようになった。そして、毎年「梅林ガールズ」たちが東京からやってきて、
「能登暮らし」を体験したり・・

実はその本といっしょに、もう一冊Mくんがくれた本がある。「梅華開」という曹洞宗のお坊さんの半生をつづった本。
Mくんはぼうさんが揮毫した掛け軸を集めるのがライフワークで、その書にまつわる坊さんの本もあわせて蒐集している。
なかなか高尚な趣味をもった不思議なおかまさんでもある。
たぶん、梅、と曹洞宗の原点の総持寺が輪島がある、そんなことから「!」とチャネったのだろう。

今朝は、「まちぼうけ」ですっきり目覚めたので、本箱から「梅華開」を取り出して、読み直ししている。

本のはじめに、曹洞宗の祖・道元禅師の「正法眼蔵」(しょうぼうげんぞう)の「梅華の巻」の言葉が
紹介されている。本のタイトルもここからきている。

梅華開髄吾得汝也(梅華開は髄吾得汝⦅ずいごとくにょ⦆なり)

梅の木と梅の木は、枝がぶつかるほど並びあっているけど、お互いの存在を敬して、
静かに佇んでいる。禅林や茶人はそんな姿に「和敬清寂」を学んだに違いない。
「わたし」と「あなた」が対立ではなく、いっしょだと悟ると、もろもろの人間関係の悩み
から解放されるし、争いも戦争もなくなる。
あの日を「まちぼうけ」するのではなく「今ここ」を大事にすると、いろいろなことに
「感謝」したくなる。どちらも「波動」の最高峰にあると思う。

今朝は「わたくしの人生」が始まるところ。なにも書いていない真っ白な和紙に、
まっさらで産まれたてのわたくしが、自分らしいワクワクする字を描いていく・・
そこに「感謝」があれば、その人の人生はゆたかだ。感謝。

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