先々月、還暦をすぎて、生まれてはじめて「ゲストハウス初体験」をした。
漆職人の街、輪島に「輪島カブーレ」という、漆にもかぶれないようなモダンな街つくり(空き家利用ですが)が行われ、
二段ベットのゲストハウス「うめのや」に3500円で泊まり、入浴券を
受付でいただき、温泉施設までゲタはいて、そぞろ歩き、温泉で都会の疲れを流し、併設する「そばや」で、
能登の地酒で「そば前」を飲(や)り、「連」という人気の居酒屋にいって梯子酒を飲み、千鳥足で
やどまで歩く。潮風がさわやかで、「能登で生きてる」と実感した。酔って、朝おきたら、酔い覚ましに散歩
しながら「朝市」も楽しめる。
今月は、大学時代の親友夫妻が能登にこられる。ぼくの「卒論」を代筆してくれた恩人。
それでも単位が足らず、6年在籍して横からしか卒業できなんだばってん。
「ひさしぶりだから、輪島カブーレでもいって、朝まで飲もう」と提案したけど、「二段ベッド」
に少し抵抗があるようで、地元の「湖月館」をすすめ、そこに泊まることになった。
ぼくらは、夕餉を一緒にする約束をした。昔から文人墨客が愛した宿で、酒を飲んでいるだけで、
エッセーや小説がかけるような気分になる宿だ。ぼくが能登を旅するなら、ここを定宿にするな。
もう一組、若い女子ふたりが能登にやってくる。彼女たちは、新しくできた古民家民泊「結舎」
に泊まるらしい。ぼくもこの宿には興味があって、近々泊まりにいこうと思っている。
うちの近所に「TOGISO」という民泊もある。3代目になる「お世話係」は、埼玉から移住した若いご夫婦プラス
一歳のなんやらちゃん。先月散歩がてら挨拶にいった。赤崎という、なんともいえない風情の港町にあって、
「能登の里海まるごといただきま~す」といった宿だ。希望者には、釣り具も用意されている。
昨日は近所の「お世話しあうハウス」のママさんが、夕方珈琲を飲みにきた。
座るやいなや「財布わすれた」といって、席を立とうとしたので「キャッシュレスは時代の先端ですね、うちはペイペイ
もいりません。顔みしりの常連さんはいつも「ヨカヨカ」システムですけん」といったら安心されて、珈琲を
飲んでかえっていかれた。
「こないだの、死なせてしまったここの常連さんが、マンションに挨拶にきましたよ。マスターが連絡したんでしょ?」
という。ぼくと同じ年で、独身で、お世話しあうハウスの元女子たちに人気があったけど、引っ越しされて、
「きっと死んだんだわ」とばあちゃんたちの話題になってた人の話。
「いえ、連絡してませんよ」と答えた。きっと、ぼくのブログを読んだのだろう。
もうひとり、近くのカフェの店主で「珪藻土焙煎器UFO、今なら1万円。」の人も、昨日卵かけごはんにきて、
完食した後、「UFOください」といって、一万円で買っていかれた。
きっとブログを読んだのだろう。
喫茶店のマスターといえども、「世界の中で仕事をしている」といういい感覚をもった青年だ、と
ヨイショしておこう。
でも、ほんとうに、どんな仕事も、「世界」を相手にしなけりゃ、生き残れらいね。
珈琲豆というのは、戦争の足音が聞こえたり、地球の環境が
変わってしまったら、ありえないものだ。
雨露が凌げる居場所があり、粗食でもおまんまが食え、ボロでも纏う服があり、
戦争にまきこまれず、すきなことができる・・・・そんなささやかな毎日が「幸せ」だとつくづく思う今日このごろ。
やっぱり「健康」が土台になるけど。感謝。