男の独居老人はもてる?みんなモテキが一度くらいやってくる。

ときどき(というかほぼ毎日)、近くの「お世話しあうハウス」のママさん(80歳)
が、そばを手繰り、珈琲を飲みにくる。

古い分譲マンションに住んでいて、まわりはほとんど女性の「おひとりさま」(平均年齢の差、生命力の差で、
最後は女性のおひとりさまが増える)
が住んでいる。ママは、朝起きると、みそ汁とごはんの一汁一菜をもって、近所の90を超え、痴呆
がすすむおばあちゃんのところへいって、ごはんを食べさせ、薬を飲ませて、自分の部屋にもどると、
いつものメンバー(みんなママより年上らしい)が「モーニング娘」よろしく、朝ごはんを所望する。
総入れ歯のモームスにかぎり「私はかたいごはんが好き」といい、まだ自前の歯の娘が「やわいほうが、よか」
とかいう傾向があるらしい。食後は、緑茶か紅茶か珈琲をいれるのがならわしらしいが、「エスプレッソの珈琲が好き」
というわがまわハイカラ娘のために、マシーンまで用意したらしい。すべて、ママさんの自腹で、朝ごはん代もタダ。
ただし、週に一度は、ママさんのために、ほかの人たちが、得意料理を披露する日があって、それで「原始的ぶつぶつ交換」
がなりたっているらしい。首相がいう「新しい資本主義」よりも現実味があり、毎日の生活の中からうまれた実践型で持続可能な資本主義だ。

先日お彼岸の日に、ママさんが「おはぎ」をいっぱいもってきてくれた。「こしはん派と、つぶあん派にわかれるので、いっぱいつくった」
とのこと。入れ歯のあるなし、とは別に、また違う「派」があるらしい。
昔から女子が好むもんに「いも くり なんきん」なんていう諺があったけど、今どきの女子はもっと複雑そうだ。

話の流れで、「みな痴呆がはいっているけど、男に対する興味は残っているのよ」と笑った。
水道工事とかで、若いおにいさんがきたりすると、髪をとかしたり、お化粧したり、普段は遠くなった耳が
聞こえるようになる・・・・らしい。シルバー川柳の材料がいっぱいだ。

「ついこないだも、近所にすむ男の独居老人の家が、解体されたのよ。そしたら、
みんな『え~ あのじいちゃん病院(施設)?』とか『家売ったの?』」いう話に尾ひれがついて、
「暑い中、死んで発見されず、フランケンシュタイン(腐乱死体)で発見された」みたいに大げさになった。」とのこと。
結局、近所の人に聞いてみたら、「借地権の関係で、家を売って、近くのマンションに越した」ということが判明したらしい。

ちょっと気になって、「もしも、それ、Mさんのこと?」と尋ねたら、「え~っ、マスターはMさん知ってるの」と返ってきた。
「彼はうちの常連さま(といっても、うちは一度きたらみな常連さま)。毎日、隕石のカップで日本酒5合が晩酌の
酒豪ですよ」と教えてあげた。能登ジェラトンの初期のコップを買われた。
「ときどき、散歩しているけど、髪はボサボサで、猫背で、とぼとぼ歩いているよ」とのこと。
確かに、そんな風体でお店の前も通る。でも、しっかりモテキを迎えている。モームスたちには、気になる存在で生きたり、死んだりしている。
ママさんには言わなかったけど、そのMさんという独居老人は、ぼくと同じ昭和31年生まれ(笑えない)

同年配の人にこんな傑作川柳が・・・

マイナンバー ナンマイダーと 聴き違え(山梨県、67歳、男性)

明日の朝は「卵かけごはん」だ。

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