東京から若くて小梅ちゃんのような梅林バールズがやってきて、
売茶翁の梅林で梅の収穫祭。
今年は毛虫が異常発生して、都会育ちの女の子たちには、ハードな仕事かな?
と心配していたけど、すぐに田舎モードになって、毛虫や蜂などどこ吹く風、
といわんばかりに、楽しそうに無心で梅をもいだ。
もいだ梅をさっと洗い(無農薬なので、さっと)、竹串で穴を10っ子くらい開け、ガラスの瓶につめ、
洗双糖を適宜いれ、「梅シロップ」をつくる。これで夏の暑さが、反対に楽しみになる。
昼ごはんは、「おにぎり」。コンビニのそれとは、似て非なるくらい、うまい、し、安全。
お茶は還元くんでつくった「水素茶」。梅仕事や田植えの時に、このお茶を飲むと、「命の水だ」
という声が体の細胞たちが、おらぶ(さけぶ)。
梅仕事の後は、すぐ近くにある「マルガージェラート」という今では全国区になったジェラートやさんで、
地産地消(春は、よもぎやふきのとうのジェラート、夏は能登塩のジャラートなんか最高)の能登ジェラートをほおばりながら
談論風発。自分たちの子供より若い、限りなくZ世代に近い女子たちとふれあうと、脳トレみたいに頭も若返る。
兄妹4人できりもりしているお店だけど、「これからの飲食」のヒントになることがいっぱいつまっている。
そして、カップの中のジェラートには、彼らの情熱と愛情と能登の恵みがギューッとつまっているのだ。
それから、「じんのびの湯」で汗を流す。じんのび・・アフリカ語で「ゆっくり」。
外海に沈む夕陽がまるで極楽浄土を見ているみたい。温泉につかっていて一番幸せなことは
「生きているか死んでいるか」の区別がない境地らしい。まさにそんな気分になる温泉。
ホテル(「能登・門前ファミリー・サンセット)とも隣接していて、とてもいい。
昔風な宿がいい人は「湖月館」がいい。福永武彦ゆかりの宿で、文人気分が味わえる。
風呂上りの休憩室でテレビのニュースを見ていると、今回の珠洲の地震で、窯が崩落した七輪やさん(水曜日にいった)の
ニュースをやっていた。テンションの高いレポーターが「これから復興にどれくらいかかる?」
とか「窯の中には、どれだけ商品が入っていたのか?」と同情するというより、エンタメモードで
しゃべっていて、豪放磊落で、胆力あふれる社長との温度差が見ていて不思議な感じがした。
仕事ゆえ仕方なにのだろうが、スーツ姿にヘルメット・・・田舎芸者の厚化粧よりも荒唐無稽だ。
レポートも大事だが、瓦礫を一個くらいつかんだり、七輪を一個くらい自腹で買っていくくらいの気持ちが
ほしい。
石川出身の哲学者・西田幾多郎先生(京都の哲学の道は、彼がよく歩いていたので命名された)が、こんな言葉を残している。
「非常時なればなるほど、我々は一面において落ち着いて、深く遠く考えねばならぬと思う。」