究極の珈琲を淹れるコツ?

昔から
「地獄より熱く、恋のように甘く、思い出のようにほろ苦く」
のいうのがあった。

♪昔アラブの偉い坊さんが・・・
ではなく、フランスの伯爵。名前をシャルル=モーリス・ド・タレーラン。
政治家でもあり美食家でもあり、おフランスの彼の珈琲哲学は、永い間、世界中の珈琲党の
目標でもあった。

「珈琲タレーランの事件簿」(また会えたらなら、あなたの淹れた珈琲を)という本が人気らしい。
タレーランは、そのタレーラン。京都の喫茶店「タレーラン」を舞台にしたもので、作家は福岡出身で京大
法学部出身の岡崎琢磨さん。読んでみたい本だ。

一昨日、能登のお店から豆の注文がきて、朝からガラガラ炭火焙煎をし、納品。昨日は
また違う店から、思った以上の注文をいただき、今日納品した。
最近輪島に移住して、日本料理屋を始めた話題のお店の主人が、気にいっていただき、注文をもらった、ということだ。
まだそのお店にいったことはないけど、関西から能登へ移住、というから、きっとぼくの修行先の珈琲は飲んで
いたに違いない。ほんまに「おーきに」といいたくなるくらい、ありがたいことです、ホンマ、ほんなこつ、感謝。

明日は能登から九州にもどる帰路につくので、輪島から帰る帰路にあるある「食堂」へ・・・
そこの主人は、81歳。40歳で早期退職をしてお店を開いた。
入り口がふたつ。左のほうの部屋から、笑い声が聞こえた。そこからでてくるお客さんは、みなクーラなどをもってでてくる。
駐車場の隅っこに車を止めようとすると、でてきたおばさまが「すぐでるから、ここにとめて」といって笑った。
車をとめて、その左の玄関から入ろうとすると、「入り口は右からどうぞ」といわれ、それにしたがう。
つまり、左が常連さん、右が一見さん・・・だ。べつに問題なし。。

一番人気が「かつ丼」で、850円。二番人気が「焼きめし」800円。同じくらい人気が能登が原点のオムライス850円。
ぼくが焼きめし、筆子さんがオムライスを注文した。能登の海でとれたワカメと、門前の上質な豆腐の味噌汁と、生ハムとレタス、トマトのサラダ
がついてこの価格。さすがに、40年も続く店だけに、たいへん美味しく仕上がっていた。となりの常連席の人が、足立ナンバーの車(ぼくたち)に
、「遠いところからわざわざありがとう」とか「この店は、みんなマイモン」といって、マイモン、これはこちらの方言といって笑った。
「大丈夫ですよ、ぼくらは能登4年生、マイモンが『うまいもん』くらいはわかります」と答えたら、また笑っておられた。「米寿になった」とか「あがった」(これは思い出のようにほろ苦い?)とか・・みんな人生の先輩たちだ・・・

女将さんが「お口にあいましたか?」といって、お膳を下げにきた。「味はわかりませんが、珈琲がつきます」といって、
白い磁器の珈琲カップに、ちゃんとした珈琲がでてきた。
珈琲つきでこの値段。
思わず「大変けっこうなオカゲンの珈琲です」と答えたら、隣の部屋のおばあちゃんたちが「いっこうにフカゲンですいません」と答える。

こんな不思議な「食堂」が、門前にある。「能登はやさしや土までも」というが、やはり「ひと」がやさしいのです。
こんな土地で、すこしづつではありますが、ぼくの「ほぼぶらじる」が静かに手ごたえを感じながら広がってきた。
タレーランには遠く及ばないけど、ぼくの「おいしい珈琲を淹れるコツ」は

のみ口 ひと口めが すっきり
人肌に さめても まったり
あと口 余韻が 一時間

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