12月ということで、なんとなく、いろいろ落ち着かない毎日がやってきた。
お歳暮をだす、いただく、という習慣は稀有になった。でも律儀な後輩たちから
この季節は、酒や酒肴に最適な山海の珍味がやってくる。お返しは、だいたい海苔
、またただの海苔だけど、ちょっと格別なものをおくっていた。でも、巣ごもり効果?
なのか、そのお店に注文が殺到していて、またうちにあった在庫も底がきれて、今年は
どこかで違うモノをおくるはめになった。またそれはそれで新鮮ではあるが・・。
水曜日、いつものようにMBT(このブランドの靴は散歩が楽しくなるよ)のつっかけ(サンダル?)を履いて、
錦糸町のブックオフ、釣具屋、豆源郷、塩パンや・・・のお決まりの徘徊散歩をしていた。
ブックオフの手前、オリナスあたりで、チャリンコの籠に本をはだかでやまんごと(いっぱい)積んだおかまのMくん
とすれ違う。「あ~ら、おにいさん、徘徊してんの?帰る道わかる?連れていってあげましょうか?・・・」
まったく下戸とは思えない、ハイテンションなおかまくんだ。
「どこいくの?」と問うので「ブックオフ」とぶっきらぼうに答えたら「今ブックオフで兄さんごのみの本をゲットしたから、
わたしが売ってあげる!」といって舞踏家の土方巽の本を籠からだして、「これ、100万で売ってあげる」といって
笑っている。値札シールを見たら、500円。あいかわらず、マニアックな本のコレクターだ。
コースを変更して、豆腐屋までいっしょにいくことになった。水曜日は緑豆の豆腐、おから、木綿豆腐、おあげなどを
調達する。おでんの季節になると、がんもなんかもいい。少し贅沢なおでんになるけど、そんじょそこらのお店より
豆源郷のモノでおでんをつくると、夕餉が桃源郷になるのである。
豆腐屋のおやじ(といってもぼくより10歳くらい若い)はときどき蕎麦を手繰りにきてくれる。にがりは、能登のにがりを
使っている。昨日はその塩屋さんの近くで調達した干しシイタケを土産にして、女将さんにそっとわたした。
塩パンや(愛媛の八幡浜本店)に向かって、Mくんとてくてく歩いていたら、「のむらさ~ん」という大きな声がして、ふりむいたら
豆腐屋のオヤジが手をふりながら、その場で何度もジャンプしながら「ごちそうさま~」とおらんだ(叫んだ)。
まるで履いているMBTのモデルであるマサイ族みたいだ。能登のびがりや、こだわりの大豆・・・天地の恵みいっぱいに感謝
しながら生きているパワーを感じる。
木曜日は午前中に「三日坊主の珈琲教室」を無事におえ、押上文庫に特別仕様(文庫ちゃん仕様)の白い片口の酒器を
納品し、明治通りにあるお茶や(名前も知らへんけど、ときどき若い女将が蕎麦を手繰りにこられる)に、メキシコから
流浪してこの街にたどりついた青年と、二日続けておかまのMくんと、待ち合わせ。
流浪する人たちが寄ってくる街。押上には、そんな温かい雰囲気があるかもなんばん。感謝。