能登牛すじ蕎麦と能登の花巻

急に寒くなった。炭火をおこすと、入ってきたお客さまが
「あ~ 炭火」と感激してくださる。ときどき若い人が「これなんですか?」
ととんちんかんな質問をする。平成生まれの人の中には、生まれてからこっち、炭火をみたことない人が
いるみたいだ。ソロキャンプが大人気みたいだけど、そのうちモバイルバッテリーの
性能があがってくると、山奥で蓄電池にコンセントをさして、レンジでチンしながら、調理を
するのが普通になったりして・・・・

こないだ能登の蕎麦屋でそばを手繰っていたら、近くの有名な「能登牛専門店」の社長さんと隣り合わせ
になって、不思議な縁を感じた。いつも遠くで蕎麦会をやなどや、東京から能登へいく車の中には
「YETI」のクーラーにペットボトルの中に、そばつゆ、水素茶、パラダイス酵母、アイスコーヒー
などを入れ、シマノという釣り具用のクーラーに食材をいっぱい詰め込んでいく。
帰りは、釣った魚を切り身にして冷凍したものや、季節によっては、さざえや海藻などを
いれて東京に向かう。今回は柿がいっぱいとれたので、常温で梅などを入れる収穫籠に入れ、
クーラーふたつは、けっこう空き空間があったので、少し高かったけど、えいや、と
いって(そんな気分で)、能登牛のすじを買って、クーラーに入れてもってきた。

それを、柚子胡椒つくりで残った柚子をしぼり、お湯にくぐらせ、さっと洗い、
大き目の鍋いっぱいに水をいれ、能登の椎茸、友達にもろうた生姜、ニンニク、能登ねぎ、
塩、酒、などを適宜入れて、「とろとろ牛すじ」をつくった。
いつもは、おでんにしたり、大根といっしょに炊いたりする。
3時間ほど煮たら、とろとろになった。ぬすみぐい(普通は、味見というけど、高級な筋肉をパクリとやった瞬間、
泥棒になった気分がした)してみたら、筆舌を超えた味になった。

ちょうど、暖簾も冬用にかえ、メニューも冬限定の「とんさま」を復活させる季節なので、思い切って、
えいや(これも気分)で、「能登牛すじそば」と「能登牛すじカレーそば」のメニューをつくった。
土曜・日曜日は、3割くらいの人が、それらを注文してくれた。
昨日は「ゆるゆるそば」、もとい「ゆるゆるヨガ」を二階でやった。
ヨガの時間は、下で蕎麦の準備をしながら、ヨガにあう音楽をかけ、カレーを食べるのがならわし。
昨日は、もち麦ごはんに、カレー、その上にとろとろの能登牛すじをのせた。

学生だったころ、京都木屋町に「いんであん」というカレーやさんがあった。
鳥ガラ、豚骨、野菜をベースにしたカレー。大皿にごはんを盛り、カレーをのせ、
そのカレーの上に牛肉がコロンとのっていた。王将の餃子や、天下一品で、空腹を
満たす学生には、ちょっと贅沢なカレーやった。50年続いたけど、こないだ緞帳を下げた。
そんなことを思い出しながら「いんであん風・能登牛すじカレー」を喰っていたら
、上から「腹へった」という声あり声がした。

これから「卵かけごはん」。能登からもってきた食材たちが味噌汁の実に入る。
新しいメニューに「花巻」も登場する。江戸のそばの定番だった。
蓋つきの器に、温かい汁そばを入れ、その上に海苔を散らす。
お客さんが、蓋をとった瞬間に礒の香りがプーンと香る、そんな粋なそばだ。
能登の作家ものの合鹿碗(ごうろくわん)という漆の蓋つき碗に、温かいそばを入れ、能登の岩ノリをちらし、
蓋をして供する。贅沢なそば。彼の合鹿碗は、ニューヨークやパリで、ランチで3万円クラスのお店
でよく使われている、そうだ。無論いったことはない。うちの「花巻そば」は1050円也。