なかなか味のある俳優さんだった。
「北の国から」は、フジテレビの精神的文化力が最大だったころの
世界遺産みたいな作品やと思う。作った人たちや見る「人」たちが世界遺産やったのかもなんばん。
彼が土岐という焼き物の街で、家業が焼き物だった、とは知らなかった。
ぼくの友達にも、美濃の焼き物屋で生まれ、今も京都に住んで俳優を続けているKくんがいる。
昨日の夕方、「おれのことなら放つといて」という新劇俳優で、故・中村伸郎さんのエッセイを読みながら、
ウィスキーをチビチビ飲んでいた。本の帯に・・
◎俳優中村伸郎の舞台には、ひょうひょうとした味がある。今度初めて随筆をだした。これがまた、味があって面白い。
家の近くのセブンイレブンに買い物にでようとして、奥さんに「どこへ行くんですか」ときかれ、
「イレブン・ピーエム」といってしまう、奥さんは平気な顔で、「じゃ、食パン買ってきてください」と頼む。
こんな話がさらっと書かれている。
まさに、飄々とした日常が綴られていて、何度読んでも笑顔で元気になれる一冊。
そして、俳優のKくんは元気にしているだろうか・・
と思っていたら、携帯が鳴った。Kだ。
「今日フジテレビのMさんと食事をして、明日天真庵で蕎麦を手繰ろうと思っていたら、
Mさんが、明日は休みかもしれない、というので電話をしてみた」とのこと。
「ごめん、今能登やねん」というと、「まじっすか・・」と若者言葉を使って残念がる。
芦屋釜のある北九州は遠賀川河口の街に友達がいて、飲んで話していたら、芦屋と能登との深いつながりの話、などを、
まるで主役になった俳優みたいに、一言一言を大事に噛みしめるように話す。まるで、映画のシーンで北九州のうらびれた
居酒屋で飲んでいるような気分になる。さすが俳優だと思わされた。会うといつもそんな感じになる。
長い大部屋暮らしの苦労が、しっかりした土台になって、なんとも言い難い味わいのある人間性を醸し出している。
最後に「東京にMくんと野村くんが友達でいてくれるのが、ぼくの自慢や」という。
「こちらこそ」をお返ししたい。ぼくもどちらかというと「おれのことなら放つといてくれ」という性格だが、
時々友が遠方より遊びにきてくれると、またうれしからずや、でもある。感謝。