芸術は、ゲイの術?

水曜日は、小学校の六年からいっしょに酒を飲んでいる「まったい」と、有楽町の交通会館の
地下にある「よかよか」で飲んだ。半世紀以上酒を飲んでいる親友。博多うどんのお店で、夜は少し気の利いた酒肴で、
「東一」(あずまいち)など、九州の銘酒も飲める。ぼくの好物の「小倉駅のホームのうどん」
のようなかしわを甘辛に煮たん、冷奴、坦々もやしなどの酒肴で、伯楽星の4合瓶があっという間に空いた。
「ちょっとペース早すぎじゃない」とお互いにセーブしながら、二本目の東一を頼むと、「おまけです」
と手羽先の炊いたんがでてきた。ふるさと北九州に帰ってきた気分になり、あわびの胆のワイン煮などをつまんで
いたら、東一も空になった。4合瓶が瓶のままでてくるので、正四合づつを飲み干した。
「じゃ~ そろそろ〆に、博多うどんを食べようか?」と問うと、「新橋に熱燗のうまい店があるので、そこにいこう」
ということになった。彼はフジテレビマンだったので、よく新橋で飲んだ。

へんな順番だが、二件目のお店で、「刺身の盛り合わせ」がでた。そういえば、新橋の蕎麦屋で飲んだ時も、
「まずはビール」のように刺身の盛り合わせから始まった。いい感じの酒器に、人肌につかった澗酒がでてきて、
瞬く間に、また3合づつ(もう数えていない)飲んだ。
♪おれとおまえは飲んだくれ いつもおんなじ店にきて 軽く酒でもひっかけりゃ・・・ぐでんぐでん おれと
お前はぐでんぐでん・・・・・
時節がら、カラオケにはいかなかったけど、そんなところまで酔って、新橋駅から押上にかえる。

気がついたら千葉の「八千代台」というとこやった。知らぬ間に、県をまたいだ旅をしている。GOTOトラブル?
うちのお客さんで、そのへんから来てくれる人もあまたいるので、ホームの向こう側に一礼して、反対側
の電車を待つ。ふたつほど「上野行」がきたけど、しかとしていた。そのうち「押上行」がくるだろうと、あんきな
気分でまっていたけど、三本目も「上野行」なので、それしかないんだ、と悟り、高砂で乗り換えて、無事に押上
についたから、のんきな飲兵衛である。

先月から、「すみだ向島EXPO2020」というイベントが界隈で開催されている。(今週末まで)
代表が、後藤大輝くん。ぼくのお茶のお弟子様だ。

会場のひとつ、旧邸という明治通りにあるシェアハウスの隣に、琉球畳を敷いた道場が
あり、そこには江戸時代に揮毫された立派な二双の屏風が飾ってある。
おかまのMくんが所蔵しているものだ。その道場の二階も、シェアハウスになっている。

Mくんちの前を散歩していたら、ちょうど引っ越し(二か月かけて、2000冊以上の本をチャリンコに積んで
近くの長屋に運んでいる)の段取りをしていた?「珈琲でも飲みにいこか」というと、「パパ~、芸術祭おごって~」
というので、近くの「お米や」(そのイベントの受付場所)
にいき、チケットを買って(ひとり3300円)、そのチケットの「おまけ」になっている「ぶんかん」の珈琲を飲んだ。
会場のひとつの八広にある古い工場内の写真展を見て、ゲストハウスの一階で催されている「松本の珈琲イベント」へいき、
最後は、十間橋通りの「文花会館」の海野くん(芸大出身)のアトリエを見て、その二階の中西くん(彼が、天真庵の改装プロジェクトのリーダー)
の部屋をのぞき、談論を風発させて、濃い休日が終わった。芸術は爆発だ?
この街に住んでいる人たちの「いとなみ」を見ていると、「生きてること、すなわち芸術である」と思えてくる。
絵や書や音楽の才能がなくてもいい。一生懸命「今ここ」を生きている人は、みな芸術家!